12.相反する ページ12
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退院する日。
望は手伝いと退院祝いに来てくれた。
やっぱり私の世界から香りは消えたけど
でも今のところ、他には何も消えてない。
望もここにいるって感じられる。
大きい病院に移ろうとも考えた。
でも、思ってた以上にあったとはいえ
お父さんとお母さんが
私の“将来”の為に残してくれたお金は
いつ退院できるか、どんな検査を受けさせられるか
その検査はいくらかかるのか
そんな、未知数が多すぎる大学病院に行くには
少ないだろう、と踏んで
しばらくは前通り・・・ではないだろうけど
学校行って、家に帰ってという生活を続けようと思う。
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中間先生は
やっぱりお医者さんだから
大きい病院にうつることを強要するかと思ったけど
「そう貴方が決めたなら、それでいいと思います。」
と、アッサリと認めてくれた。
親戚たちは、長期の入院も無くなり
持ち家だから、このまま一人暮らしをするのはどうだろう、という提案に
お金がかからない、引き取らなくていい
そうとだけすぐに察して
嬉しそうに、「Aちゃんの好きにすればいいわ。」と
私の為にさせているような言い方で、そう答えた。
何かが違う、2つの答え。
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貴「・・・・3つ感覚が無くなったら、入院かな。」
望「俺的には、ずっと入院しててほしいんやけど。」
少し不機嫌に
もう一歩行けば、泣きそうな、望の声に
私は笑ってごまかした。
望が1番
この病気が治る方法を見つけるのに、積極的だった気がする。
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諦めとか、そういうんじゃないけど
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治らないだろうな、っていうのは、既に察してる。
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作者名:桜翔 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2017年12月16日 21時