春なんてこなければいい 【Kento.N】

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今更だけど、寝る時ってどうなるの、と聞くと



自分でスイッチ押してスリープモードになって


アラーム機能がついてるのでそれで起きます、と答えられた。









「じゃあ、俺が寝たらA寝てよ。」

「早く寝てくださいね。」

「おやすみ。」

「おやすみ。」






俺の布団の中で


横並びになって寝転がる。



Aの方に寝返りをうつと


Aもそれと同時に、同じ方向に寝転がるから


結局、彼女の顔は見れない。





代わりに、布団の中を探って


手を繋ぐと


Aは握り返してくれた。









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俺が寝たら寝て、って言ったの失敗かも。


寝顔見れないや。









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「Aー寝たー？」

「健人さんが起きてるので、起きてますよ。」

「そりゃそうか。」




律儀に、そう返事したくせに









「・・・・好きだよ。」




その言葉には


最後まで返事しなかった。









Aはロボットで


俺は人間で



そのことに、ずっと引け目を感じているのだろうか。





強く握りなおした手は


同じように、更に力を込めて握られて


やっぱり、あたたかかった。









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１度やることはやったくせに


キスも、抱きしめすらしないまま



明日にはいなくなる


じゃあずっと寝ずに見ていよう。





そう思ってたくせに


瞼は重たく落ちていき









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目が覚めると、Aは消えていた。

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