春なんてこなければいい 【Kento.N】

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「私、あと１年後に、健人さんに会いたかったです。」






結局背中を向けられて


後ろから俺がAを抱きしめていると



唐突に、そう切り出す。









「何それ？」

「そのくらいたてば、人間に生まれ変わってるんじゃないかなって。」

「・・・・・」

「まあ、ロボットに魂があるのかどうかも、生まれ変わりとかあるのかは分からないですけど。」

「・・・・あるよ。絶対。」




Aは俺の言葉に


「また適当な事言って。」と笑った。









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Aが、また一緒にいたいと言ってくれた。



それも、生まれ変わって人間になりたいなんて


現実的なAらしくないことまで言って。








「ねえそれって、俺の事が好きってことじゃないの？」





そう尋ねても


Aはやっぱり何も答えない。









好きという言葉を頑なに言わないのは、どうして？









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変な空気感のまま


でも抱きしめた腕をほどかないまま


俺は眠りについた。








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それ以来、Aと肌を重ねることは無かった。


キスも、抱きしめるのでさえも。



拒否されたわけでも


後悔したわけでもない。




タイミングとか、そういうの。








「おはようございます。健人さん。」




それでも


一緒にいるだけで、ちゃんとという言葉で表すのがもったいないくらい


常に幸せを感じるんだ。

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