春なんてこなければいい 【Kento.N】

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握った手だけが暖かい。



まだ蕾の桜を揺らす風は、まだ冷たい。





予測寒い、って書いてあったから、俺は上着てるけど


Aはグレーのワンピース１枚。



来た日と同じ物。





段ボールの中に何枚か着替えは入っていて


それをローテーションで着てるみたいだけど


このワンピースを着ていることが１番多い、気がする。









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「A、寒くない？」

「え？・・・ああ、大丈夫です。」




俺と比べて薄着なのに気になってそう聞くと


Aは異常に驚いた様子を見せる。






「寒いのには強いので。逆に、熱いのは駄目です。」

「あ、そうなの？」

「ほら、夏場スマートフォンがものすごく熱くなるじゃないですか。そんな感じです。」

「へー。」

「・・・だから。」









「健人さんがよく言う、私があったかいっていうのは、ただの中のモーターが発した熱です。」









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「・・・・・・Aってさ、どうしたいの？」



違和感が重なっていく。






Aが泣けないと言って


俺にそのままでいてほしかったと言った日



俺はてっきり、Aは俺と一緒にいたいものだと思った。





家族なのか、はたまた恋人同士なのか


その関係は分かんないけれど、死ぬまでずっと一緒にいれる関係の人間みたいに。







でも最近のAは


期間までは一緒にいる、ということを強調したり


わざわざ俺が感じてるものを、それはあくまでも機械のものだと否定したり。









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開き直ってるんだと思ってた。



でも、






もしかして、突き放してる？

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