春なんてこなければいい 【Kento.N】

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「A・・・？」

「はい。健人さん、おかえりなさい。」





俺がそのまま、黙りつづけると


Aは何かを察したような顔をして。









「ああ、お風呂掃除してたんです。ぬめり取ったり、カビも頑張って取って。」

「ぬめり・・・カビ・・・」

「そうです。健人さん、ちゃんとお風呂掃除してこなかったでしょう？大変だったんですから・・・」



そうぶつぶつ言って


またお風呂場の方に戻って行く。




去ってく背中を見て









・・・・・・・・思わず、すがりついた。









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「・・・健人さん。」

「いなくなったかと、思った。」








「・・・・・・やだ。」




顔を見れた時の


安心・・・というより、拍子抜けして



そうすると、頑張って張ってた心も


ふっと緩み








目頭が、ぶわっと熱くなる。









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涙を耐えようと


Aを抱きしめる腕を強めると








「まだ、２週間ありますよ。」




その笑い声で


ふっと、涙がひいた。









「そう、だったね。」

「健人さん、焦りすぎですよ。」




Aはずっと笑ってる。


けど、何だろ。この違和感。







この前は、一緒にいたいと


だから期間を言わなかったと、そう言ってたのに。









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「お腹すいてますよね。早く用意するんで、ちょっと待っててくださいね。」





何か、開き直ってる？

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