春なんてこなければいい 【Kento.N】

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おふざけだと思い込んだ。



それが俺には笑い事じゃなかっただけ。





そう思い込んで


頑張って笑顔を作る。




『まだ』準備されてない、空っぽのテーブルに袋を置いて









「A−。何してんの。隠れてないで出てきてよ。」




なるべく明るい声色で声を上げる。



上がった声は、天井と床に


響くこともなく突き落とされた。








冗談が過ぎるって。









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俺の部屋を開く。


中は真っ暗。



かくれんぼの定番の、ロッカーの中やベッドの下を覗く。




・・・・・いない。







やめてって。









ためらいながらトイレに行く。


迷うこともなく、トイレの扉は開いてて


廊下の電気が照らす中にはいない。








・・・・・そんなわけないって。



だって、確認したのつい最近だもん。


あと、２週間以上あるでしょ。





・・・・それは嘘だとか、言わないよね？









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「A！！」









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「はい。」






・・・・・・後ろの扉が開いて


汚れるからか、エプロンをつけて



さっきまでまさに使ってたのか、泡がついたままのスポンジを持ったAが


気が抜けるような、いつも通りの、やけに固い





でも俺の好きな声で、そう返事をした。

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