Fall in love 【短編集】 JW&KJ

運命バレンタイン　　　Ｂｕｎｉｃｈｉ．Ｈ ページ20

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「あの！これ、受け取ってください！」







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家から学校までの15分間の電車通勤の時間。


サラリーマンや、たまに学校の生徒たちのいる満員電車。



女性専用車両がある時間帯やから


必然的に、普通の車両は野郎まみれで暑苦しくて




本来大して良い時間じゃないけど


それまで地獄だった分


幸せだと勘違いする、電車から降りた瞬間。









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「えっと、その・・・」





もう1回言う。


満員電車から出た瞬間


ほんとに、瞬きをしてる間に。


したのは瞬きじゃなくてため息やけど。





俺が務めてる学校の隣にある女子高の制服を着た子が


俺の前に走ってきて


目の前に可愛らしいピンクのチェック柄の紙袋を押し出して来た。








「ずっと、好きでした・・・」





照れ隠しか


長い黒髪を何度も耳にかける仕草と


それによって露わになる、真っ赤な耳を見て




ぼんやりと、


かわええな、と思った。









めっちゃ近くに伸ばして来る


街頭で配ってるティッシュみたいに


反射的に受け取ってしまって




それでその子は満足してしまったみたいで


ぱー！っと走っていった。









.









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文「名前も言わずに行っちゃってんけど、あの子。」





俺に世界で1番に会わないだろう紙袋を持ったまま


しばらく呆然と立ち尽くしていた。

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