Fall in love 【短編集】 JW&KJ

スケアクロウ　　　Ｋａｚｕｙａ．Ｏ ページ32

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和「いってらっしゃい。」





その言葉と対になってる言葉を


僕はまだ言ってない。









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丈「渡辺から連絡来てる？」

和「たまに来てるよ。え、何。丈君Aちゃんに既読無視されてるん？」

丈「されてへんわ！未読のままやし。」

和「寂しいね。」

丈「大橋に同情されるとか。うーわみじめ。」




えへへ、と笑うと


丈君は「ぶりっこー。」と冷たくあしらう。







丈君は、高校からの友達。


話題になってる渡辺Aちゃんは、僕のちっちゃい頃からの幼馴染。


最近夢を叶えるためにって上京した。


それで、丈君の元カノ。


僕の好きな女の子。









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丈「そういえば大橋、東京に転勤するかもって話どうなったん？」

和「断ったよ。」

丈「はあ？」





丈君のその


いつものいじるのとはまた違う



僕の気持ちが理解出来なくて


それが気持ち悪く感じるような返事。








丈君が、Aちゃんと付き合うって言った時に


心から「おめでとう」って言った時と、同じや。









丈「・・・てっきり、渡辺に会えるとか言って、追いかけるみたいに行くんかと。」

和「何それ僕めっちゃ女々しくない？」





まあそれは


俺はしたいし、してもかまわへんねんけど。









和「僕がここに幼馴染としておることが大切やねん。」









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Aちゃんのことを、Aと呼び捨てで呼ぼうとしたとき


僕が自分を俺に呼び方を変えようとしたとき


Aちゃんに、告白しようとしたとき




Aちゃんは、怖くてたまらないという顔をした。









僕はAちゃんが傷ついて、自分を失った時に


それを取り戻させることができる



そんな、目印のようなもの。




幼馴染で、ずっと一緒にいた僕にだけ与えられた使命。






だから、変わったり動いたりしちゃだめ。









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和「僕はずっとここにいるよ。」





ここで、おかえりって言うんだ。





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「スケアクロウ」錦戸亮

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