アネモネの熱 【赤】

４２．「しない」？「できない」？ ページ42

.









重「・・・・・・早川。」




先生を見上げると


口をむにい、と上げて


安心させるように笑う。









重「帰ろっか。どうせほかの奴ら帰ったやろうし、俺電車やから、送ったる。」




頷いて、頭を下に落としたそのまま


前を歩く先生の足音に着いていく。






だけど、少しすると


その辿ってた足音が止まり



不安になって、ようやく先生を見上げると









重「・・・・ほら。」




ぐいっと、


私の手を取って、引っ張った。








.









重「早川は、ええ子やで。」

貴「・・・・何それ、私子供みたい。」

重「ははっ。えー子えー子。」




くしゃ、と頭を撫でる。


あやしてるつもりなんか



何度かされたそれと比べて


物凄く手つきが優しい。








手つないで、というか引っ張られて


頭撫でられて


私は泣いてて。




・・・・・雰囲気何て、皆無。


何だか私、幼稚園児みたいや。




年齢差からすると


兄弟みたいなもんやから


妹を慰めるお兄ちゃんくらいに見えるんやろう。






でもええや。先生の優しさに触れられるなら。







・








貴「・・・・・・・もういっそ兄妹に生まれたかった。」





そしたらずっと一緒にいられるし


先生がお兄ちゃんなんて、ちょっとうざそうやけど楽しそうやし








・・・・・・・・・何より、恋なんてせえへんやろう。








.








.









重「でも、兄妹やった恋できひんで。」

４３．つっかかる言葉の選び方→←４１．怒りの種類

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す