アネモネの熱 【赤】

２７．暗い髪色、ストレートヘアー ページ27

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望「早川！」





劇が終わって早々


次の劇があるから、大急ぎで立ち退いて



片づけを終わらせて


皆が写真撮影会を始めたころに


小瀧に名前を呼ばれる。




小瀧はまだパリスとかいう劇の恰好のまま。


似合ってるけどさ、茶髪やし。


演技も上手かったんやけどさ。









貴「・・・・・・・ジワる。」

望「はあ！？俺の名演技見てへんのか！」

貴「見てたわ。小瀧君すっごいじょーずでしたー。」

望「誰やねん。」




コツン、と私のおでこを叩いて


それよりさ、写真とろ？と言われて


うん、と小瀧が撮ってくれるのに入る。







貴「自分の盛れる角度探すのやめろ。」

望「ああごめん。俺はイケメンやから早川が盛れる角度探さなやったなごめんごめん。」

貴「喧嘩売ってるん？」



うそうそ、と


ようやく小瀧はシャッターを押した。



すぐに、私の携帯が鳴る。


私のLINEに送ってくれたらしい。めっちゃ早いな。









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望「そういえばさ、目が合ったん気付いてくれた？」

貴「あ、あれほんまに目合ってたんや。」

望「はー！？俺何してたと思ってたん！？」

貴「や、単純にお客さん側見てるだけかと。それか、隣の流星さん。」

望「流星おったん？」

貴「そっちの方が酷くない？」

望「ああでも、どうりで広井さんいたんや。」





広井さん？


聞きなれない名前に首を傾げると


それに気づいた小瀧が、ああ、と言って


少し奥を指さす。




そこには、暗い髪色のストレートで


いかにも大人しいです！っていう


流星さんとは結び付かないような女の人がいて



広井さんは、じっと見てた私と小瀧に気付いて


少し会釈してから


困ったように眉を下げて、私たちの方へ来た。

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