Dr.SnowMan

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先生がくるまでに少し時間がかかって、その間ずっと樹くんが隣で話しかけてくれる。

田中『学校の検診で来てくれたんだよね。

親知らずか、……そっか、……あ、検診の時も岩本くんじゃん。』

学校の検査用紙を見て、先生覚えてない？と聞かれる、

確かマスクしてて、目元だけしか見えなかったけど、緊張してる私に笑ってくれたような、……


田中『今も痛い？』

『……ちょっと、』

田中『そっか、……俺もさ、親知らずAちゃんくらいの歳で抜いたなぁ、』


痛かったですか？、ときこうとしたとき、

岩本『ごめんごめん、遅くなった……、樹ありがと、

こんにちは、佐藤Aちゃんな、岩本照です。

俺のこと覚えてる？』

この前の検診の時の、マスク姿に目だけ見えたこの人。覚えてる。

『……ちょっとだけ、』

小さく答えると、ははっと笑ってよかった、と。

岩本『俺多分怖がられたなぁと思って、歯医者さん来てもらえないかなって思ったんだけど、来てくれてよかった。えらいえらい。』

樹くんみたいに、ぽんぽんと岩本先生も頭を撫でてくれた。


岩本『じゃあ、せっかく来てくれたからちょっと頑張ってみよう。』

『……、ごめんなさい、……やっぱ、こわ、い……』

高校生にもなって、恥ずかしいけどほんとに怖い。何されるのかも分かんないし。

岩本『Aちゃん。

今日はこれとこれとこれしか使わない。

これは、歯を細かく見る鏡な、で、これは……』

岩本先生は今日使う物はこれ、と三つの器具の説明をしてくれた。

岩本『全部痛いことする物じゃない。約束するよ。なぁ、樹、痛くないよな？』

田中『うん。俺これ毎日見てるけど岩本くんが痛いことしてるの見たことない。大丈夫大丈夫。笑』

ふたりとも、呆れることなく私のペースを待ってくれる。

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