▽ ページ20
ジェシーside
なんだかんだ、Aには強い口調で話したことはない。宥めたり諭すことで、Aは自分の中で納得してくれる子だから。
だから、俺がAの自傷しかけた手をつかんで、強く言ったことで、困惑したような萎縮したような、悲しそうな顔をした。
『はなして、……』
ジェシー『だめ。離したらまた自分のこと傷つける。A、これはやっちゃだめなこと。分かる？』
『……だって、っ、』
ジェシー『……お姉さんだから、いろいろ我慢しなきゃって思ったんだ、』
『……ん、っ、』
そこまでいうと、涙がぽろぽろあふれてきたみたい。
ジェシー『なんで急にお姉さんになろうと思ったの、』
『……っ、えほん、っ、注射の、……っ、あとね、看護師さん、ひとり、っ、検査褒めて、くれ、るっ、』
ジェシー『うんうん、ひとりで検査行くと褒めてくれるんだ。だから、頑張らなくちゃって思ったんだ。』
この前、寝る前の読み聞かせで自立を促すような本を読んでもらったらしい。その中に、もう大きいのに甘えたり泣いたりするのは良くない、みたいな表現があったらしくて。
素直なAはそれを全部受け止めてしまって、頑張ろうとしたり、嫌なことがあるときはそんな自分を罰するようにぎゅっと手首をつねって我慢したみたい。
だけどこのアザからして、たくさん我慢してたんだなあと思う。自己肯定感も下がってしまったことだろう。
ジェシー『A、おいで。』
手を広げて優しい顔をしてAが自分から抱きついてくれるのを待つ。
その瞬間、近くで落ちたような雷の音がした。
Aはまた手首をぎゅっとつねって、
『……、やだ、……っ、はぁ、っ、はぁ、っ、』
呼吸が少し乱れ始めた。過呼吸だ、
ジェシー『A、つねらない。……大丈夫だからな、先生ここにいるからゆーっくり息はこう。ふーっ、一緒にやってごらん、……そうそう、』
ほんとは抱きしめたいけど、自傷しないように両手をそれぞれ握って、目を合わせてふーっと息を吐き出すよう指導する。
ジェシー『上手にできてるよ。』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1105人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Naonaonnn(プロフ) - リクエスト応えていただいてありがとうございました！とっても好きなお話になりました！！！ (2020年6月30日 13時) (
レス) id: fd406e97dc (このIDを非表示/違反報告)
O5fukO5(プロフ) - はじめまして、毎日の更新楽しみにしています。北斗くんの産婦人科のお話がお気に入りです。もう少し場面変えての子宮頸癌検査とか若い子相手にしている感じも読んでみたいです。これからも楽しみにしています。 (2020年6月29日 1時) (レス) id: f7b85fbcab (このIDを非表示/違反報告)
ふー - 何度かコメントさせていただいてます。リクエストなんですが、虫歯治療のお話でずっと通ってた歯医者さんをサボってて痛くなっちゃって怒られちゃって逃げたりサボったりしながら、頑張るお話がみたいです。これからも楽しみにしております！ (2020年6月28日 1時) (レス) id: 1a3f03aa90 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - はじめまして。小説を読まさせて頂いています。とても内容が濃く繊細に書かれていていつも感動しております。今回の北斗君のお話の続きも楽しみにしております！これからも、応援しております！ (2020年6月27日 23時) (レス) id: 5a59404731 (このIDを非表示/違反報告)
岩田柊架(プロフ) - ウミネコ。さん» 大丈夫です、コメントありがとうございます！ (2020年6月27日 0時) (レス) id: 8ac4da8d9b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柊架
| 作成日時：2020年5月26日 21時
