▽ ページ6
.
リハビリを休んで１週間。誰も何も言わないし、私も何も言わない。
トイレに行きたくなったらナースコール押してね、と言われているけれどトイレくらいひとりで行きたい、と言うことも聞いてない。
今日はぼーっとしてたからか、バランスを崩して転んでしまった、お尻が冷たくて痛いけれどそう簡単に立ち上がれず。
すると、後ろからまさかの慎太郎くんが来て。
ちょっと怒られたけど、知ったことか、と言い返す。すると、慎太郎くんは黙って起こしてくれてトイレから部屋へと支えてくれた。
やっぱり支えてもらわないとまともに歩けないことに悔しくて涙が出る。
『……リハビリ、行かないから。』
リハビリに来いって言いに来たんだろうな。
だけど、行きたくない。行かない。
森本『分かったから。……じゃあ、ちょっと散歩しに行かない？、今桜の季節だし今日はあったかいよ。
リハビリの時にリハビリの話しかしてなかったじゃん、俺ら。違う話もしたいしさ、車椅子で、どうよ。』
意外にもリハビリとは違って、散歩に行こうと。
……
森本『久しぶりに外出たでしょ。ね、』
やさぐれていろんな医療関係者さんに声をかけられてもうまく返さない私とは対照的に、慎太郎くんは患者さんから関係者さんまでいろんな人に笑顔で答えてる。
森本『よーし。ここにすわろっか、……』
適当なベンチがあったから、そこに下ろしてくれて、慎太郎くんが隣に座る。
森本『ベッドに１週間もこもってたら暇でしょ。何やってたの、』
『……』
森本『……諦めるの、』
静かな慎太郎くんの声に、怒ってるのかなと顔を上げると意外に優しい顔をしてて。
『……』
森本『もう疲れちゃった？』
『……』
森本『……しんどいよな。ずっと頑張るのは。』
『……』
森本『ん、』
『……え、バスケットボール……？』
森本『ちょっとパスしてよ、ほら、』
慎太郎くんはそういうとわたしから距離を取って投げて、と言う。
いつものように投げたけど、右手がうまく動かなくて思った方向にいかない。
森本『……左手うまく使ってみ、行くよ、』
慎太郎くんが投げてくれたボールを左手に力を入れて右手は添えるようにキャッチする。
森本『できんじゃん、うまいうまい。笑』
……あぁ、やっぱり楽しいな、バスケ。
だけど、もうできない。涙が止まらなくなってしまって、ボールを持ったまま泣いてしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1296人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美紀(プロフ) - スノスト大好きです最高ですコロナウイルスに気をつけてくださいね (2021年10月26日 17時) (
レス) id: e19dcb272d (このIDを非表示/違反報告)
渡辺翔太すきぃ！ - とっても面白くて本にしてください！ってくらいでした！医療系のやつ、また待ってます！ (2020年12月28日 21時) (レス) id: 1cfe5b607c (このIDを非表示/違反報告)
岩田柊架(プロフ) - ひよこ豆さん» リクエストありがとうございました。 (2020年5月24日 8時) (レス) id: 8ac4da8d9b (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ豆(プロフ) - 岩田柊架さん» 書いていただきありがとうございました！とても良かったです！！ (2020年5月23日 22時) (レス) id: 0cf3933467 (このIDを非表示/違反報告)
岩田柊架(プロフ) - ひよこ豆さん» 了解致しました。ありがとうございます！ (2020年5月17日 16時) (レス) id: 8ac4da8d9b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柊架
| 作成日時：2020年4月27日 0時
