ライブ映像 ページ16
『こっちが呼んどいてごめん！
スタッフさんとの打ち合わせが入ってもうて…
そない遅くならんと思うから、家で待っとって！』
お家デートを約束していた日に、きみくんから土下座のスタンプと共にそんなメッセージが送られてくるのは日常茶飯事。
そして待ってる間に今こそ彼女アピールをせんとスカスカの冷蔵庫から材料をひねり出してありあわせの料理をこしらえるのもまた定番化した流れ。
やれテレビの収録だの、
やれ雑誌の取材だの、
やれレコーディングだの、
やれドラマの撮影だの、
マルチな仕事をしている分、忙しいな、と思う。
だがしかし、やっぱり寂しいぞ…
晩ご飯の支度もキッチンの片付けもシャワーも済ませ、手持ち無沙汰になって部屋をキョロキョロしていると、
テレビ台の脇に大量のDVDが並んでいることに気付く。
近付いて手に取ってみれば、それはきみくん達のライブ映像。
「ほぉ〜〜」
勝手に見てもいいだろうか、とも思ったがしかし恋人の晴れ姿(?)を見たいという好奇心に勝てなくなってしまうのは致し方あるまい。
「うわっ………」
初めて見た、ライブ。
ドームを埋め尽くすほどの歓声と、
眩しいほどのペンライト、
そしてただならぬ空気感。
「かっこい……」
多方向にファンサを振りまくきみくんの姿にときめく自分に苦笑しつつ、必死できみくんの姿を目で追う。
照れたように噛み噛みになったり、
ゲラゲラと爆笑したり、
ふざけたことを言ったり、
そのどのきみくんとも違う、120%アイドルのきみくん。
――アイドルって、こんなに、すごいんだ…
「映像でこんなにすごいなら、やっぱり是非ともライブに行きたいな…」
きみくんが恥ずかしがるのもあるが、あたしはライブに行ったことがない。
今度ライブがあったときは、申し込んでみようか。
と、心の中で決意した時、
「あ…」
丸山さんの姿が目に留まった。
自分でも何を思ったか分からないが、
思わず、巻き戻した。
トロッコに乗ってファンサを振りまく丸山さん。
よく見れば、一瞬だけ、目の色が変わったのが分かる。
そして、明らかに意味を持った、口パク。
『ア・イ・シ・テ・ル』
そして、テレビを一時停止して画面を凝視すると、丸山さんの目線の先には……
「――あたし……？」
そう呟くのと、
「うわっ！」
焦ったような声が背中に飛んできたのは、
ほぼ同時だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 307人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
渡璃凛(プロフ) - ○○さん» 長らく返信しておらずすみません;;; よろしければ引き続きよろしくお願いします。 (2021年5月7日 10時) (
レス) id: 800f7c5fac (このIDを非表示/違反報告)
○○(プロフ) - うぅ苦しい辛い…泣。けどめちゃくちゃ展開がまた楽しみになりました！はあああ丸うううう泣 (2021年1月25日 20時) (レス) id: 155ff908a4 (このIDを非表示/違反報告)
渡璃凛(プロフ) - コメントありがとうございます。恐れ多いお褒めの言葉をたくさんいただいて嬉しいですしこれからもお付き合い頂きたいですしおすし(笑) 若干亀更新ですがよろしくお願いします。 (2021年1月25日 10時) (レス) id: 800f7c5fac (このIDを非表示/違反報告)
○○(プロフ) - 内容もありきたりじゃないし、読みやすいし聞き手側に想像しやすい表現ですし！変な関西弁じゃないですし！自然な感じで内容も面白くて急展開になってきてて面白いですね！(いやおすしって言わないんかーーーーーーい自分) あ、おすし← 次のページも楽しみにしてます！ (2021年1月25日 3時) (レス) id: 155ff908a4 (このIDを非表示/違反報告)
○○(プロフ) - 面白いですね！ (2021年1月25日 3時) (レス) id: 155ff908a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：渡璃凛 | 作成日時：2021年1月6日 14時
