story.16／記憶 ページ18
何やら変な名前の怪しいお店が続く、すすきののダークな場所を歩く。
(…怖すぎるって！)
こんな場所、女一人で歩くもんじゃなかった、大人しくともくんの出待ちしていればよかったと後悔。
少し早歩きしながら、地図を見て進むと目的の場所に到着。
なんと――店先に、ともくんがいた。
「あ、あのー…」
話しかけると、なにやら真剣な表情でこっちを見るともくん。
すると、無言で手を引かれ、狭い路地裏へと連れて行かれた。
「ちょ、佐香さんッ」
「…Aがちっちゃい頃は、"お兄ちゃん"って呼んでくれたよね」
「え…？」
悲しそうな表情をするともくん。
酒を飲んだのか、頬は赤く上気している。
…それにしても、何故私の名前を知っているのだろうか。
「うん、知ってるよ…Aが小学2年生の時、高いところから落ちて頭打って記憶の一部を失ったってこと。でもね、Aのお母さんは"そろそろAも貴方から離れなきゃダメな頃だ"って…」
「えっ、小2の頃に高いところから落ちたのは事実ですけど…記憶失ってたなんて…そんなの、お母さんから聞かされなかったですよ」
衝撃だった。
もう、色々ありすぎて話についていけない。
「Aがちっちゃい頃、僕が学校帰りのとき…幼稚園に寄ってAと一緒に遊んだんだよ」
「…覚えて、ないです…」
「あはは、まぁそうだろうね」
ともくんは、悲しそうに苦笑いをした。
「"将来お兄ちゃんのお嫁さんになる！"なんて言われた時は、すっごく嬉しかった。自分ではロリコンじゃないとか思ってたけど、でもAのことは本気で好きだった。まさか…僕のファンになってくれてるだなんてね、思いもしなかったよ」
「む…昔の私はそんなことをあの佐香さん相手に言っていたのですか」
そんなことを言っていたのか…と思い、なんだか恥ずかしくなった。
今じゃ憧れの相手だし、手も届かないと思っているから――本当、驚愕としか言いようがない。
「…昔みたいに、お兄ちゃんって…呼んでほしい…」
すると、消え入りそうな声でともくんがそう言った。
それは本当に、悲しみに満ちた声だった。
「…お兄ちゃん」
「ありがとう…」
ともくんは、優しい表情でそう言った。
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あやみ - 続き楽しみにしています。 (2017年6月9日 19時) (
レス) id: 61237e0948 (このIDを非表示/違反報告)
莉音(プロフ) - モノクロさん» いえいえ！！少年Tさんメイン少ないので自分で書いちゃいましたw 更新頑張ります、ありがとうございます！！ (2016年9月2日 7時) (レス) id: c15f9073a3 (このIDを非表示/違反報告)
モノクロ(プロフ) - 少年Tさんメイン珍しいですよね、書いて下さりありがとうございます！！で 出る方も私得な方ばかりなので更新楽しみです！楽しみに待ってます！！ (2016年9月2日 3時) (レス) id: 882496534e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：莉音 | 作成日時：2016年8月21日 22時
