♪４１♪ ページ41
あーあ、やめときゃ良かったのに。
釣られてチョコ味を食った桐月を見ながら、頭ん中でため息をついた。眉間に皺よってるしうえって顔してるし、完全に地雷じゃねえか。
桐月は口の中の甘みと格闘していたのか、数分悶えた後にごくりと喉を鳴らした。何とか飲み込んだみたいで、すぐに鞄から水を出して口の中に流し込んでいた。
「……不味ぃのわかってたなら食わなきゃ良かったのに」
「食べてみたかったのよ、あなたが絶賛するから」
うわ、そういうこと言うかよ？
その一言の真意に引っかかっていると、あいつはまたすぐに飴の包装を取り出して封を切った。
いつもののど飴。やっぱそっちのが良いんじゃねえか。
「安定だな、それ」
「私の生命線だからね。やっぱりこれ舐めるとホッとする」
「そんなに？ 」
「慣れちゃえば美味しいものよ、舐める？ 」
「…………遠慮しとく」
また気まずくなるのは御免だしな、と俺はまた一粒ドロップを放り込んだ。
不思議なもんだ。世界一最悪な奴だと思ってた人間と今こうして肩を並べて、そうして俺は素直に言葉に出来ない感情を抱いて、あいつを見ている。
いちごの香りが溶けて、ぐんぐん染みていく。その味がなくなる頃、俺達はようやく帰路についていた。
「さーて、帰っか。明日もあるし、宿題やっとかねえと」
高台を降りる頃にはもう、空はとっくに暗くなっていた。結構な時間、あの場所にいた気がする。
「桐月どっち？ 」
「こっち。丸井くんは？ 」
「マジ？ 一緒じゃん、途中まで同行させて」
さらりと、思わず嘘をついた。どれだけ遠くなったって今は構わない。少しでも長く、桐月といたい。
「丸井くん」
「ん？ 」
「ごめん。すごい借り作ってて……ありがとね」
「んー……借りじゃねえだろぃ、変な気ぃ使うなよ」
本当真面目だよな、と呟いて目線を外した。
暗がりの中で映ったあいつの笑顔は、案外可愛くて。見つかるのが何となく嫌で、俺は桐月に歩調を合わせながらのんびりと歩いていった。
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かるぴん(プロフ) - めちゃくちゃブン太大好きになりましたら！主人公も友達のキャラも好きです！素晴らしい作品をありがとうございました！ (2022年4月9日 3時) (
レス) @page50 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
幻想曲(プロフ) - YUEMINさん» コメントありがとうございます！！ハチャメチャに嬉しいです、頑張ります(´∀`) (2019年3月23日 23時) (レス) id: 530eb924bf (このIDを非表示/違反報告)
YUEMIN(プロフ) - 完結おめでとうございます。めちゃくちゃ楽しく読むことができました!!これからも頑張ってください。応援しています!!! (2019年3月23日 22時) (レス) id: 1af2bac581 (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - とんでもないです^ ^ゆっくり書いて頂ければ幸いです。作者様のペースで、頑張って下さい！応援してます！ (2019年3月22日 21時) (レス) id: 949b3c86b7 (このIDを非表示/違反報告)
幻想曲(プロフ) - りんごあめさん» ありがとうございます！！！めっっちゃくちゃ嬉しいです！！！後日談、出来たら書きたいと思っているのですが如何せん残りの話数が2話分しか残っていないもので……なんとか収めて書きたいと思っていますのでお待ちいただけたら嬉しいです！ (2019年3月22日 1時) (レス) id: 530eb924bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2018年9月11日 22時
