♪４０♪ ページ40
彼の目線は、責めるような、恐ろしさを秘めたそれではなかった。
「だったら良かったじゃん。やっと本音言えたんだろぃ？ あっちも本音言ってきたんだし、謝って喧嘩両成敗！ これで終わり！ 」
ぽん、と両手を合わせ、彼は目尻を下げてにっかりと笑った。
だけど、それで私の不安が解消されたわけじゃない。あくまで、それは「外野の意見」だ。どうなるかなんて、私が断言できないし見えない。それが、たまらなく不安。
すると、彼は少しだけ距離を縮めて、私の目を見た。
「大丈夫、お前らたった一回の喧嘩でコンビ解消するように思えねーもん。勇気出せよ、またハッカやるから」
優しい声。引き込まれそうな深紫。不安がたちまち砂になって、それが今度は鼓動に変わる。
嗚呼、本当に。この人は。
「……ありがと」
「どーいたしまして……？ 」
「何で疑問形なのよ」
「何に感謝されたのかわかんなくて……」
「アドバイス。あなたのおかげでちゃんと謝れそうだから。あとハッカ」
ちゃんと謝れよ、と頷きながら念を押された。目の前の笑顔が、何だか眩しくて堪らない。
日も暮れたはずなのに、この人の笑顔だけはいつも光がある。私がそう見えてるだけなのかな。
彼の手元で、重い音がした。赤い缶のドロップ。今日は、私もお揃いの色。
「あのさ」
「ん？ 」
「丸井くん、何味が一番好きなの」
「んー……」
どの味もうめぇからなー、とこもった声が返る。しばし考えて、強いて言うならと彼が告げた味はチョコだった。
「珍しいじゃん？ チョコ味の飴って。なんか癖になるんだよな、限定味なら赤缶も緑缶も両方好きだけど！ 」
「ふーん。チョコってどの色？ 」
「焦げ茶のやつ。……え、食うの？ 」
「だって美味しそうに食べてるから」
私も自分の缶を出して、からからと振ってみる。飛び出してきた焦げ茶色を、何の躊躇いもなく口に放り込んだ。
……予想はしてたけど、甘い。チョコっていうか、ココア？ チョコはほのかに香る程度だし、殆どが人口甘味料じゃない、こんなの。
けど、ちょっとだけ、本当にちょっとだけ、美味しいと思った理由は何なんだろう。
やっぱり、隣の人の影響なんだろうか？
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かるぴん(プロフ) - めちゃくちゃブン太大好きになりましたら！主人公も友達のキャラも好きです！素晴らしい作品をありがとうございました！ (2022年4月9日 3時) (
レス) @page50 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
幻想曲(プロフ) - YUEMINさん» コメントありがとうございます！！ハチャメチャに嬉しいです、頑張ります(´∀`) (2019年3月23日 23時) (レス) id: 530eb924bf (このIDを非表示/違反報告)
YUEMIN(プロフ) - 完結おめでとうございます。めちゃくちゃ楽しく読むことができました!!これからも頑張ってください。応援しています!!! (2019年3月23日 22時) (レス) id: 1af2bac581 (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - とんでもないです^ ^ゆっくり書いて頂ければ幸いです。作者様のペースで、頑張って下さい！応援してます！ (2019年3月22日 21時) (レス) id: 949b3c86b7 (このIDを非表示/違反報告)
幻想曲(プロフ) - りんごあめさん» ありがとうございます！！！めっっちゃくちゃ嬉しいです！！！後日談、出来たら書きたいと思っているのですが如何せん残りの話数が2話分しか残っていないもので……なんとか収めて書きたいと思っていますのでお待ちいただけたら嬉しいです！ (2019年3月22日 1時) (レス) id: 530eb924bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2018年9月11日 22時
