♪２８♪ ページ28
思い出した。一年の頃の焼け付くようなあの思い。そうだ、初めて立海で試合を見た時のあの気持ち。
純粋な憧れからどす黒い感情が生まれたのは、いつからだっただろう。
その人に近づくために、自らを天才的と偽ったのはいつだったのだろう。
偽りは、偽りだ。俺は天才「的」であって、本当の天才はあの人であって。それを知った時の気持ちは、よーく覚えている。
「俺だって嫉妬してる。認めるまで結構抵抗あった。でも、嫉妬したまんま何もしねぇ方がだせぇじゃん」
「……そう、だけど」
「言っとくけどお前はださくねぇよ、頑張ってんの声に出てると思うし」
だから、と一呼吸置いて俺は桐月に告げた。
「素直にそれ認めて、武器にすりゃいいんだよ。橋本が逆立ちしても出来ねぇことあんじゃん」
「……」
「歌えよ。桐月の声の歌、聞かせてくれよ。お前の声が一番聞き心地良いし、好きな奴もいるんだから」
そこまで告げると、流石に俺もちょっとは冷静になってきていた。
ちらりと壁の時計を伺うと、いつの間にか昼休み終了十五分前。次、移動だから行かねぇと。
「じゃっ俺移動だから行くわ。練習長い間切っちまってごめんな」
「待って」
渡したい物がある、とあいつは言った。
聞き覚えのある、金属と何かがぶつかる音。差し出されたのは懐かしいロゴと、緑色が印刷された缶。
「あなたが来たら渡そうと思ってたの。お詫びの返しって訳じゃないけど……いろいろありがとう。声のこととか」
今度はちゃんと美味しいはずだから、と弁明も忘れない。
こういうとこ、本当に真面目なんだよなあこいつ。
「サンキュ。もらっとく」
俺はそのドロップ缶を受け取ると、軽く手を上げて音楽室を後にした。
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かるぴん(プロフ) - めちゃくちゃブン太大好きになりましたら！主人公も友達のキャラも好きです！素晴らしい作品をありがとうございました！ (2022年4月9日 3時) (
レス) @page50 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
幻想曲(プロフ) - YUEMINさん» コメントありがとうございます！！ハチャメチャに嬉しいです、頑張ります(´∀`) (2019年3月23日 23時) (レス) id: 530eb924bf (このIDを非表示/違反報告)
YUEMIN(プロフ) - 完結おめでとうございます。めちゃくちゃ楽しく読むことができました!!これからも頑張ってください。応援しています!!! (2019年3月23日 22時) (レス) id: 1af2bac581 (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - とんでもないです^ ^ゆっくり書いて頂ければ幸いです。作者様のペースで、頑張って下さい！応援してます！ (2019年3月22日 21時) (レス) id: 949b3c86b7 (このIDを非表示/違反報告)
幻想曲(プロフ) - りんごあめさん» ありがとうございます！！！めっっちゃくちゃ嬉しいです！！！後日談、出来たら書きたいと思っているのですが如何せん残りの話数が2話分しか残っていないもので……なんとか収めて書きたいと思っていますのでお待ちいただけたら嬉しいです！ (2019年3月22日 1時) (レス) id: 530eb924bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2018年9月11日 22時
