♪２６♪ ページ26
桐月と話すようになって、気づいたことがある。
こいつの会話には、必ずどっかに橋本の話題が紛れてくる。多分、わざとじゃない。自然と比較してしまうんだろう。
前の、仲間内の話を思い出す。橋本といて、周りから比較されてきたからそうなってしまったのか。純粋に、橋本を尊敬してるからそうなっているのか。はたまた、自分を卑下しまくる面倒くせぇ性格が元なのか。
こっちとしては、桐月と話してんのに橋本のことばっかり聞いてるみたいで正直腹が立つ。
お前は桐月Aだろぃ？
橋本彩音じゃねえんだろぃ？
だったら、お前の話だけをしろよ。俺が知りたいのは、桐月Aの話であって。橋本彩音の話じゃねえんだよ。
「あのさあ桐月」
思わず、口が出た。もう橋本の話は充分だ。橋本の「自慢話」は聞き飽きた。
「お前の話、してくんね？ 」
「え？ さっきからしてるじゃない」
「だから、お前の話。さっきっから橋本のことばっかで聞き飽きたんだけど」
「……そんなに話してた？ 」
俺が頷いてみせると、あいつは溜息をついた。これは結局、無自覚のクチだったのか。
「……ごめん。友達にもよく言われんの、ハッシーのことばっかって」
「え？ お前橋本以外に友達いたの？ 」
「また弁当バッグで殴ってほしいの？ 」
「冗談だって悪ぃ悪ぃ」
あの痛さはもう勘弁だ。この性格でまだ友達がいるってのに驚いたのは事実だけど。
「……まあさ。お前のこと否定した俺が言えるクチじゃねぇけどさ。ちょっとくらい自信持てば？ 橋本になりたがったってなれる訳じゃねぇんだし」
「けど……」
「けど、じゃねえよ」
なんか、むずむず通り越してイライラしてくる。
橋本になりたがって何になる？ 憧れてもまったく同じになれねぇなら自力で何とかするしかねぇのに？ それをグズグズとこいつは。
イライラ、イライラ、気持ちがこんなに煮え立つのはきっと、昔の自分と同じなんだからだろう＿＿
「お前はお前の強みがあるんだろぃ？ 歌だってそうじゃんかよ、そんくらい胸張れよ！ 橋本に憧れてコミュ力増えんのか？ 高い声出せんのか？ 無理だろぃ！？ 自分の強みで勝負するしかねぇんだよ！ 」
半分、叫んでいたような口ぶりになった。
多分これは、昔の自分に向けた言葉。過去の自分に一番言いたかったことなんだろう。
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かるぴん(プロフ) - めちゃくちゃブン太大好きになりましたら！主人公も友達のキャラも好きです！素晴らしい作品をありがとうございました！ (2022年4月9日 3時) (
レス) @page50 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
幻想曲(プロフ) - YUEMINさん» コメントありがとうございます！！ハチャメチャに嬉しいです、頑張ります(´∀`) (2019年3月23日 23時) (レス) id: 530eb924bf (このIDを非表示/違反報告)
YUEMIN(プロフ) - 完結おめでとうございます。めちゃくちゃ楽しく読むことができました!!これからも頑張ってください。応援しています!!! (2019年3月23日 22時) (レス) id: 1af2bac581 (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - とんでもないです^ ^ゆっくり書いて頂ければ幸いです。作者様のペースで、頑張って下さい！応援してます！ (2019年3月22日 21時) (レス) id: 949b3c86b7 (このIDを非表示/違反報告)
幻想曲(プロフ) - りんごあめさん» ありがとうございます！！！めっっちゃくちゃ嬉しいです！！！後日談、出来たら書きたいと思っているのですが如何せん残りの話数が2話分しか残っていないもので……なんとか収めて書きたいと思っていますのでお待ちいただけたら嬉しいです！ (2019年3月22日 1時) (レス) id: 530eb924bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2018年9月11日 22時
