page13「劣等感」 ページ21
強く夢が覚めて欲しいと願った。
その為か、辺りが徐々にぼやけていく。
それに安堵して、ぼやける景色をシャットダウンするかのように私は目を瞑った。
目を開けたら白い天井のベッドの上で窓から入る光に目を細めるのだ。
そんなことを呑気に予想しながら、夢から覚める、そう確信していた
のに、
・
・
・
・
【……なんで、此奴の一番近くにいたくせに気付かなかったんだよ!!!!!】
・
・
その言葉で閉じていた瞳を開ける。
だが、目を開けているのか閉じているかもわからない暗闇が広がっているだけだった。
さっきの言葉は確かに、ハッキリと私の耳にその声が聞こえた。
私に言われてるのか、はたまた違う誰かに言っているのかそんなもの見当がつかない。
だけど、その言葉という刃は私に向かって刺さってきている気がした。
言葉が錘のように私にのしかかっている。
耳を塞ぎたい衝動に駆られるが、生憎そんなことをする体が夢では見えやしない。
夢を覚めろと願うしかできない自分が嫌になる。
だが、逃すまいと次の言葉がまた嫌なほどハッキリと聞こえる。
・
・
・
【此奴は最期までお前が来るのを待ってたんだよ!!!】
・
なんの話かなんて予想できるほどの余裕もない。
不安が私を覆い尽くすだけ。
_______覚めろ、覚めろ覚めろ覚めろ覚めろ
体すら見えていないのに、首を絞められているかのように苦しいと感じる。
_______どうしたら、夢から覚めれる?
いつの間にか、夢が覚めることよりも覚めれる方法を頭で考える。
こんな不安と恐怖に苛まれた状態で正しい結論を導くことなど不可能に近いのに必死に頭を働かせる。
だが、そんなこと意味が無いと嘲笑うかのようにまた、
声が聞こえた。
・
・
・
・
・
・
【此奴じゃなくて、お前が死ねば……っ】
・
・
・
・
悲しみと怒りが混ざり合ったような酷く、冷酷な言葉が頭に反響した。
その瞬間押し寄せてくる劣等感。
そこでフと気付く。
_______………何で?
_______…何で私に言われているのかもわからない言葉で私が劣等感を感じるの
その疑問を解決する前に、この悪夢は幕を下ろした。
981人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雨中と猫。(プロフ) - ちょこさん» うわああああんすみませえええええんがんばります (2022年2月10日 2時) (レス) id: dcb807c257 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます!(´;ω;`) (2021年12月20日 22時) (レス) @page49 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - いちごポテトよーぐるとさん» 返信が遅くなりすみません!めちゃくちゃ嬉しいです、現在別作品「笑えないって」リメイク更新中ですのでもう暫くお待ち下さい!! (2021年12月9日 18時) (レス) id: dcb807c257 (このIDを非表示/違反報告)
いちごポテトよーぐると(プロフ) - 色々な感情で涙が……とても面白かったです…。更新待ってます、! (2021年8月17日 0時) (レス) id: 33ba1212be (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - 眠夢_さん» うわああああありがとうございます!!今メインで書いている「笑えないって」という小説のリメイクを行っていてそちらが落ち着き次第こちらも更新しようと考えております!絶対完結はさせますので何卒ー!! (2021年8月13日 3時) (レス) id: 6b41ff11b2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雨中と猫。 | 作成日時:2017年4月29日 2時