9話 ページ10
『行ったか…』
朝日に照らされながら木の上に立ちひとらんが去った方を見つめる
『ふ…さぁ、朝だ 村へ戻ろう』
笑みを浮かべ村に続く道を歩き出すラルド
気付いていないが彼女の尾は満足げに揺れていた
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「あ!翠玉様だ!おはようございます!」
『おはよう』
「守護者様また遊ぼ!」
『あぁ、時間を作るな』
「ラルド殿少し頼みたい事が…」
『分かった、聞こう』
ラルドが村に戻る
すると、その姿が見えたのか子供達を始め村人が集まり一気に賑やかになった
イーアルの村の朝は始まる
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森を抜けてからも走り続けたモウム
その甲斐があってか後半分程の距離になった為休憩を取るひとらん
「ここまで来るのにもう少し時間が掛かると思ってたが、モウムお前やっぱ速いなぁ」
体を横に倒して寝ているモウムを撫でながらひとらんは話掛け、片手にはラルドが用意してくれた握り飯を持ち腹を満たす
ある程度身体を休めたひとらんとモウムは立ち上がった
「さて、休憩もしたし腹も満たした…もうひとっ走り頼むぞ」
ンガッ
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お昼を少し過ぎた頃
ようやく我々国の門が見えて来た
「よし、ここまでで大丈夫だ」
ひとらんの声にモウムはゆっくりと止まり傷を労ってか足を曲げひとらんが降りやすくした
「ここまで乗せてくれてありがとな、ラルドからは自由に使えって言われてるがイーアルの森に戻っていいぞ お礼も自分で言えたからお前は自分の家に帰りな」
…フゴッ
モウムは1つ鳴くだけでその場から動かない
そんな様子にひとらんは1つ思った事を聞いてみた
「……一緒に来るか?」
ンガッ!
こうして、モウムを連れひとらんは我々国の門へと足を運ぶと門番の1人がひとらんに気付いた
「ひとらんらん様!?」
「おう」
「ひとらんらん様!ご無事でなによりです!さぁ、中へ」
「そのモウムは如何されますか?」
「頼む、只乱暴はするな」
「分かりました、ではこちらに」
門番に連れられ城へ入るひとらん
道中、出会った兵達は無事に戻って来た事を喜んでいた
「只今連絡が入り至急、総統室へ来る様にとの事です」
「あぁ、分かった」
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コンコンコン
「特別護衛部隊総監督ひとらんらん、只今到着しました」
「入れ」
堅苦しい言葉と共にドアを開けると真っ先に目に入るのは1人の男
黒塗りの机と豪華な椅子に座るのは我々国の総統
グルッペン・フューラー
「無事でなによりだひとらん、さぁ話を聞こうか」
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作者名:°.雨の子.° | 作成日時:2019年10月2日 11時