翠玉の守護者 (ページ7)

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6話ページ7

コンコンコン

『入るぞ』

ラルドは桶に入っているお湯を零さない様に気を付けながら部屋に入りサイドテーブルへと置いた

『一旦包帯を取るが、もし痛かったりしたら言ってくれ』

「あぁ」

そう言ってラルドはひとらんの様子を見ながら包帯をゆっくりと外していく

「っ」

『！…大丈夫か？』

「瘡蓋の所が引っかかっただけだ、続けていい」

『…わかった、何かあったらすぐ言え只でさえ腹を抉られてるんだから』

「寝てりゃあ治る」

『…お前は馬鹿か？』

呆れた様なラルドの言葉にひとらんは顔を顰める

『はぁ…ひとらんらん、お前はヒューマ族だろ？』

「そうだが？」

『私は自己治癒力が種族の中で1番高いのは獣人族だと思っていたが…違ったのか？』

「…俺は特別なんだよ」

事実、生命力の強い獣人族傷の治りも他の種族に比べると圧倒的に速い
それを知っているひとらんは不貞腐れた様に答えた
ラルドはそんな彼に苦笑いを浮かべる

『寝て傷が治れば誰だって寝てる……ん…ちょっと待て…なんでこんな早く傷口が塞がる？』

包帯を取ると完全にとは言わないがある程度傷が塞がっており血が滲んでいるだけだ
目を丸くして傷口を見るラルドにひとらんは

「言ったろ、俺は特別なんだよ」

とニヒルな笑みを浮かべた

『…本当にヒューマ族なのか？2日寝たら抉られた傷が治るなんて』

「ヒューマ族の中でも特別って事だ……待て、今2日寝てたって言ったか？」

『ん？あぁ言ったが…「まずい！」…どうした？一旦落ち着け』

「落ち着けるか！っ…今は大事な時期なんだよ…」

慌てた様子でベットから出ようとするのをラルドは止めるが急に動いてしまい傷が痛んだのか悔しげに元の体勢に戻る

『…話を聞こう、何か力になれるかも知れない』

「…」

話しても良い物かと考えるひとらんの黒とここまで話合えたのだ彼の力になりたいと思うラルドの翠が交わる

「…近々、戦争になるかも知れない」

『！』

「まだはっきりとは分からないが…それに我々国の軍人になる為の採用試験もある」

『…』

「だから早く戻らないといけない」

『…確かにそれは早く国へ戻らなければならないな…だが！今日は駄目だ』

ラルドの言葉に顔を歪めるひとらん

『もうじき夜になる、森は眠りその警備にアイが出て来る…行くなら明日だ』

ゆっくりと太陽は沈んでいく

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アイ(アイアタル)
黒きモノ森の妖精とも魔物とも言われている
森に侵入してきたものを喰らう