翠玉の守護者 (ページ43)

今日:19 hit、昨日:17 hit、合計:55,455 hit

42話ページ43

「ラルド！ラルド！見てみぃ！」

『あー…本当に書いて貰ったんだな』

先程まであった不穏な空気が無くなり、存在が不透明であった隠の者であるゾムにサインをねだり書いて貰った主張の激しいサインをコネシマはラルドに見せていた

「ゾムのサインなんていらんやろ」

「ロボロお前分かってへんなぁ、言ってしまえば隠の者は物語の人物みたいなもんなんやで？」

「そうやぞ」

「それでもいらんわ！」

「かぁ～！勿体無い奴やわ、そや！ラルドも貰っとったら？」

『わ、私か？私は別に…』

「お！ラルドも欲しかったんか！しゃーないな、書いたるわ！」

そう言ってゾムは何処から出したのかペンを手にラルドへジリジリと近づく

『ま、待て！私は別に欲しいなんて「まぁまぁまぁ」くっ！』

ラルドはペンを持つゾムの右手を両手で掴み止める

「なんで止めんねん」

『あ、当たり前だっ』

力を込めて離そうとするが涼しい顔でペンをラルドに向けるゾム
ここでも男女の差が出てしまっている

『本当っ「大変待たせた、これから合格者を発表する！」ほ、ほら！試験官が言ってるぞ！』

「チッ…いやぁ、やっとか！」

試験官の声が聞こえ慌ててゾムに言うと合格しているかちゃんと聞かないといけないと思ったのか彼はラルドから離れた(離れる際、不満げに舌打ちをしたが)

「(舌打ちしたぞコイツ)そうやな」

「なぁ、中央に向かうか？」

『あぁ、どう言う風に発表されるか分からないからな、近くに居て損は無いだろう』

他の志願兵達も同じ考えなのか、試験官の立つ中央に集まっている様だ

「全員、私が見えるな？では、合格者を発表する！尚、今回の合格者数は1.050人だ」

そう言って何やら合図を出すと試験官の後ろに何処からか大きな紙が出て来た
その紙をよく見ると名前が書いてあり、そこに書かれている者が合格者と言う事らしい

「コネシマ…コネシマ…お！あったで！」

「ふーん！俺もだ！」

『ラルド…と、私もあったぞ』

「見つけんの早ない！？ロ、ロ、ロボロ！あったわ！」

どうやら4人の名前はしっかりとあった様だ

「確認したな？では、合格した者はこの場に残り指示があるまで待て、落ちた者は速やかに城を出る様に」

一通り確認出来たと分かった試験官は合格した者と不合格者にそれぞれ指示を出す
それに従い次々と試験場を出る者達、そのお陰かひしめき合っていた場が空く