翠玉の守護者 (ページ36)

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35話ページ36

「最も、殆どの者がどんな事をされても口を割らなかった様や…それでも、話してしまう者も居た」

『…』

「曰く、イーアルの森には宝石の村を守る為の守護者が居る、村に住む者達は澄んだ翠色の瞳で、中でも守護者はまるでエメラルドを埋め込んだかの様な瞳を持つってな」

『っ…その事も知られているのか』

「俺が、ラルドはイーアルの森の守護者だと分かったのはそのエメラルドの瞳と服や…って言っても服に関しては色々言われとるけどな、まぁ丁度俺が聞いた服装が合ってたっちゅう事やな」

『…そうか』

イーアルの森に入れた者達は皆、あの自然豊かな、平和な村を財宝目的の輩から守る為に口を割らなかった事を知りラルドは言いようの無い無力感に苛まれた

『っまさか森を出た者がその様な目に合っていたとは
知らなかった…』

「欲に目が眩んだ者は何をするか分かったもんやない」

『…なぁ、暴行されて…っ亡くなってしまった者はいるのか？』

「…すまん、そこまでは知らん」

『いや…そうか、ならば身を呈してイーアルの森を守ってくれた彼等にお礼を言わなければな』

ゾムの話を聞き、ラルドは森を出た者達に感謝を伝える事を決めた

『…』

「しっかし、あのイーアルの森の守護者に会えるとはな！」

『！…私だって隠の者が軍人採用試験を受けているとは思わなかったさ』

「あーまぁ、そうやな、暗殺を稼業にしとるしな」

『…まさか、誰かを暗殺する為にこの試験を受けている訳では無いな？』

「ちゃうわ！んなもんせぇへんよ！…試験を受けてるのは自分の為や」

『本当か？』

「ククッ、ホンマホンマ」

始めの空気は何だったのか
今の2人の間にはゆるりとした雰囲気が漂っていた

「あ、なぁラルド」

『ん？どうした？』

「俺が話しかける前に居た男はお前のコレか？」

そう言ってゾムはニヤニヤと笑いながら親指を立てた手をラルドに見せる

『…はぁ、違う』

「ははは、だよな！」

『分かってるなら聞くな』

「ええやろ？減るもんやないんやから」

『私は釈然としない』

「えー、ラルドの反応おもろいんやけどなぁ」

『面白くない』

ラルドをからかい遊ぶゾムに彼女は呆れた目をして肩をすくめた

『はぁ…ん、ほら私の連れが終わりそうだ、戻ろう』

「えー、もうちょい話そうや」

『歩きながらでも出来るだろ』

「そや！俺の連れ紹介したるわ！」

『話を聞け』

連れられた時と同じ様にゾムに腕を引かれ志願兵達の下へ戻って行く