翠玉の守護者 (ページ35)

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34話ページ35

銃声や弦音が聞こえる広場の片隅
苦渋の表情を浮かべるラルドとは反対に愉しげな笑顔(口元だけだが)をする男との間には重苦しい空気が漂う
尚、そう思っているのはラルドだけだが

『っ…何故』

「あれ？俺が隠の者だって分かった事は否定せんの？」

『くっ……近接戦闘試験の時、印が見えた』

「ほーん」

『…っまず身のこなしが違う、様々な武器の扱いも手慣れているし兵長の動きにも臨機応変に対応出来ていた。あの時の動きは、経験あってのモノだと思った』

「成る程なぁ…よぉ見とるわ」

『っ私は言ったぞ、さぁ、何故お前が私はイーアルの者だと分かったのか話して貰おうか！』

男の正体が分かった要因を話したラルドは男に詰め寄る

「ん？俺、話すなんて言ったか？」

『なっ！？』

「…ウソウソ！ちゃんと話すわ」

『…』

「そんな目で見んといてや」

クックッと笑う男に冷ややかな目を向けるラルド

「ククッ、ええ反応するなぁ」

『…』

「そろそろ話さないと怒りそうやな君、まず初めに俺の名前はゾム、君の言う通り隠の者や」

ラルドの反応に愉しげな男は己の名前はゾムと伝え、ガントレットを着けていない右手を差し出す

『…』

「ほら、握手や握手」

『…私はラルドだ』

「ラルドね、よろしく」

ゾムの差し出された手を見たまま動かないラルドに握手だと迫る
そんな彼に渋々手を重ね、己の名前を言ったラルドにゾムはニコリと笑みを浮かべた

『で？ゾムは何故分かった？』

「ラルドお前、せっかちやなぁ」

『うるさいぞ』

ラルドの反応が愉快だと笑った後、ゾムは1つ間を置いてから話し出す

「ククッすまんって、ちゃんと話すわ…まず、イーアルの森は部外者は立ち入れない森、その森の奥には目の覚める様な宝石の村があると言われている…それは分かるな？」

『あぁ、私の故郷が外ではそう言われている事は知っていた』

「そや、だがごく稀に森に入れる者もおる」

『…合っている』

「その者達が森を出てからどうなったか分かるか？」

『…？』

1度眉を潜めゾムを見る

「全員じゃ無いが力を持たない者は宝石を狙う者達に襲われイーアルの森に入る方法や、森の奥はどうなってるかを聞く為に拷問紛いな事をされたと聞いたわ」

『っ！そんな…』