翠玉の守護者 (ページ34)

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33話黄の草ページ34

『！…ふっ、ありがとう』

コネシマからの裏表の無い賞揚に不意を突かれたのか少し目を丸くした後、小さく笑うと礼を言った

「お前の弓術、しっかり見せて貰おたわ！百発百中！しかも全部、ど真ん中！いやぁ～プロやな！」

『ふふふ、そんなに言わなくても良い』

まるで自分の事の様に上機嫌なコネシマはラルドの肩に腕を回したまま身体を左右に揺らしながら話す

『じゃあ、次はコネシマだな？』

「お！そや、ラルドがここまで好成績を収めたんや！俺だってやったるわ！」

『ふふ、期待しているぞ？』

楽しげな彼に次はコネシマの番だと伝えると意気揚々と声を上げるコネシマ、そんな彼へ顔を向け鼓舞する

「っ！お、おう！まかせい！」

思いの外、近くにあるラルドの顔にコネシマはどもりながら回した腕を外す

「あー…ラルドあんな、おまe「次、コネシマ！」…はぁータイミング悪いわ…」

『ん？』

「まぁええわ…よしゃ！いっちょやったるわ！」

『コネシマ！頑張れよ！』

「おう！」

試験官に呼ばれたコネシマと少し話をした後、背を向けた彼を見ていると誰かが肩を叩く

「なぁ！ちょっとええか？」

『ん？』

肩を叩いた者が居る後ろへと顔を向けると、そこに立っているのは緑のフードを目深に被る男

『お前は…』

「？」

『あ、いや…何でもない』

頭に浮かぶ"隠の者"と言うワード

「そか、ならちょっと向こうで話さん？」

『え？…ちょっ！？』

何とも言えない表情を浮かべるラルドをお構い無しに彼は場所を変えて話をしようと彼女に聞くが、返事は知らないとばかりに腕を引く
そんな彼にラルドは連れてかれてしまう
悲しかな、種族の違いがあると言えども男女の力の差は覆せなかった

「…」

『…(一体何の用だ？)』

「…フッ」

『っ！』

「ククッ…別に取って食ったりせぇへんよ」

『…』

「警戒し過ぎやて」

確定はしていないが暗殺のエキスパートとも言える隠の者であるこの男に志願兵達と離れた所に連れてかれるラルドは警戒を強める
そんな彼女に男は笑みを浮かべながら話す
丁度周りに志願兵が居ない場所があり、男は立ち止まってラルドへ向き直る

「ここでええか」

『…何の用だ？』

「ククッ、いきなり本題行くんか？」

『…』

「まぁ、その様子なら俺が隠の者だって分かってるんやな…なぁ？イーアルの森の守護者ちゃん？」

『っ！』