翠玉の守護者 (ページ33)

今日:28 hit、昨日:17 hit、合計:55,464 hit

32話ページ33

コネシマとの会話を終え、試験官の下へ移動するラルド
それに気付いた試験官は彼女の背中に背負ってる大きな弓を見ると武器を選んでる残りの志願兵に目を向ける、選び終わったと分かると声を掛けた

「武器を取ったな？ではパメラはこの線、キナンはその隣の線、ラルドは1番奥の線に並べ…よし、準備は出来たな？この射撃試験は最初に言った様に速さと的確に当たってるかを見る、では、撃ち方…始め！」

トスッ

開始の声と共に聞こえて来たのは矢が的を貫いた音

「！(開始と同時に弓を射っている…しかも的のど真ん中！驚く程の集中力と技術だ)」

『…』

トストスッ

続け様に聞こえる的を貫く音は他2人の志願兵が放つ銃声の中でも耳に入ってきた
＿＿＿
＿＿
＿
「すげぇ…」

ぽつりと呟いたのは誰だったか、その事すら気にならないぐらいに目の前の光景に試験官を含めた志願兵達は目を離せないでいる

トスッ

『…ふぅ(残り4枚)』

彼女はここまで全ての的に矢を当てている
一寸のズレも無く的確に的の"中心"を貫いていた

「ラルド、お前…めっちゃすごいやん！」

トスッ

『…(残り3枚)』

トストスッ

『…(残り…1枚)』

最後の的は1番遠くにあり直径は小さい35cm
余談だが、これまでこの的に銃弾か矢を当てる事の出来た者は2人のみ、どちらも今は幹部の席に座っている

『…』

遠くの的を睨む様に見つめ弓を限界まで引き絞る

キャン

甲高い澄んだ弦音が響き

トスッ

少し遅れて的を貫いた音が聞こえた

『…ふぅ～』

「「「おぉぉお！！」」」

ラルドが間を置いてから1つ息をつくと途端に感嘆の声が上がる
そんな志願兵達を気にせずに構えていた弓を下ろし試験官へ目を向けると

「ラルド、お前の採点は終わった、戻って良い」

と言われた
戻る最中に向けられる好奇の目を気にしていないのか、気付いていないのか、ラルドは己の手をじっと見ていた

『(やはり試験だからか変に力を入れてしまった…)』

「ラ～」

『(場の雰囲気に流されてる様じゃ私もまだまだだな…)』

「ル～」

『(どんな時も己の弓を射る事が出来る様にしなけれb)「ド！！」うわっ！？コ、コネシマ！？』

「あっはっはっはっ！ラルドお前、ビックリしすぎやろ！」

考え込んでいたラルドの肩に腕を回しながら声を掛けたコネシマは想像以上に驚いた彼女に笑ってしまう

「あっはっはっ！」

『わ、笑い過ぎだ！』

「いやぁすまんすまん！」

『…』

「怒んなってお前めっちゃ凄かったで」