30話 ページ31
「ほぉ〜ん…ちゅう事は、ひとらんの命の恩人である子に"総統"たるグルッペン自らお礼を言う為に"出向いた"っちゅう事やな？」
「うぐっ…ま、まぁ！そうだな！総統たる者、部下を助けてくれた者に対してお礼の1つや2つせねば！」
「そうやなぁ…まぁ、その心意気はええけど総統自ら出向く必要は無かったとちゃいます！？」
「ひぃー！やっぱり駄目だったか！」
「当たり前だよなぁ！」
自室の前でトントンに見つかったグルッペンは部屋の中で正座をし、トントンから説教を受けていた
「たく…総統が城を抜け出したなんて事が他の者に知られたら大騒ぎになるで…ただでさえ今は戦争をするかしないかの瀬戸際なんやから」
「…」
「大切な時期に今回みたいな事されたら堪らんって、ひとらんが同行したっちゅうてもな限度があるで？恩人には手紙書くなりしてお礼伝えれば良かったやん」
隣国の王が代わり方針が自国第一主義に変更した為、自国に足りたい物は他国から貰う(奪う)と言い放った王に、今の所オスマンが会見をし考えを改める様言っているが見込みは薄い
更に我々国は近々軍人採用試験を行う、その準備もしなくてはならない
この事からトントンは総統が城を抜けずとも部下を使い礼を伝える事は出来ると言う
しかし、グルッペンは
「いや、駄目だ」
と一言
「…っなんでや？」
1つ間が空いてから聞くトントン
赤色が揺らぐ彼の目と決して変えないと言う芯の通ったグルッペンの碧色の目が交わる
「俺の直感だ」
「…は？」
「俺の直感がひとらんの話を聞いて彼女に、翠の彼女に会わないと、と訴え掛けたからだ」
「ちょ、おま、直感ってなぁ！？」
「安心しろ！トントン今年の採用試験は期待していいぞ！はははは！！」
正座をしながら笑うグルッペンに片手で頭を抱えて立っているトントンと言う不思議な空間が出来上がった
＿＿＿
side？？
「…」
「待たせてすまんなぁトントン…トントン？」
「…ん？あぁオスマンお帰り、もうええんか？」
「おん、ええで、所で何見てたん？」
「今やってる採用試験や」
横にずれてオスマンが外を見える様にしてあげる
「気になる子でもおったん？ってもう終わってるやん」
俺が思い出している最中に試験は終わっていた様だ
「あぁ…堪忍な」
「ええよ別に、どうせ合格したら顔分かるんやから」
「そうやな、ほな鬱んとこ行こか」
俺が歩き出すとオスマンも付いてくる
合格出来るよう頑張りぃや"恩人さん"
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作者名：°.雨の子.° | 作成日時：2019年10月2日 11時
