29話 ページ30
side？？
廊下を歩きながら話していると、ある扉の前にオスマンが立ち止まった
「あ、トントンちょっと寄ってもええか？」
「ん？どないしたん？」
「いや、ちょっと待ってて欲しいんよ、新しいお茶貰ったから軍曹にあげよ思って、いつも鬱君がお世話になっとるやろ？だからお礼も込めてな」
はえ〜流石オスマン、外交官なだけあるわ 部下の心を掴むのが上手い！
「あぁ〜確かに軍曹には迷惑かけとるわ 別に待ってもええけど俺、大先生の所に行ってこれ(書類)について話すだけやで？」
「俺も鬱君にちょっと話があんねん」
そう言うオスマンの手には1枚の紙…あ(察し)
「はえ〜大先生、死ぬんとちゃう？」
「死なせんって、まだまだ働いて貰わなアカンのやし」
鬱、お前の事は忘れん…
「んじゃ、ちょっと行ってくるわ」
そう言うとオスマンは扉を3回ノックし入って行った
廊下に残った俺は身体を反対の方へ向けると空気の入れ替えの為か窓が開いており空が見える
「ほぉ〜丁度、試験の様子見えるやん さてさて、今年はどんな子がおるんや？」
独り言を呟きながら外を見ると案の定、志願兵達が走っていた
「走っとる走っとる、後ろも頑張りぃや………あの子…」
軽い口調で走る彼等に声援を送っていると目に入って来たのは獣人族の少女だった
彼女の髪はクリーム色で毛先に向かって翠色になっている
何故、目に付いたのか分からない
＿＿＿
「トントン今年の採用試験は期待していいぞ！」
＿＿＿
ふとグルッペンの言葉を思い出した
「あの時言ってた子か？」
＿＿＿
数日前、太陽も昇ってない時間帯にひとらんと城を抜け出したグルッペン
2人は早朝に帰って来た
「俺はこの2匹を厩舎に戻してくるから先に部屋へ行けよ」
「あぁ、分かった」
ひとらんはアルヴァクとアルヴィズをキャリッジから離し手綱を引いて厩舎がある裏手に回った
その様子を最後まで見ずにグルッペンは城内へ入る
コツリコツリと小さな足音を立てながら階段を上り自室のある階に着くと辺りを見渡しながら廊下を歩き人影が無いのを確認したグルッペンは扉の前で小さく息を吐いた
「ふぅ(誰も居ないな)…よし」
「なぁ〜にが"よし"や？」
「どわぁぁあ！？ト、トントン！！」
誰も居ないと思っていた所にかけられる声
慌てて振り向くと今、会いたくなかった男が
「おはようさんグルッペン、さて？君は今までどこに行ってたのかな？」
笑顔を浮かべる男にグルッペンは只、震えていた
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作者名：°.雨の子.° | 作成日時：2019年10月2日 11時
