2話 ページ3
sideひとらんらん
ふと目が覚めた
「…ここは」
確か森で俺の首を狙う馬鹿共を相手にしてた筈
「家…か?」
周りを見渡しここが寝室だと分かる
上着や肌着は無いが槍で抉られた傷も治療されている
ベットの横に愛用の刀も立て掛けてあるのが見えた
「刀もちゃんとある…彼奴ら…では、無いな」
では誰だ?
コンコンコン
「!」
『入るぞ』
扉を開けて入ってきたのは獣人族であろう少女だ
『起きたか傷の調子はどうだ?』
「いや…問題ない」
『そうか、なら良かった』
此方を見るなり微笑む少女
彼女が手当てをしてくれたのだろうか
『食事を持ってきたが、食べれそうか?』
「あぁ…」
俺が返事をするなり持っていたトレイをサイドテーブルに置いた
「…」
『…』
無害そうな少女だが素性が分からない以上あまり大胆に行動が出来ない
治療されているとは言え腹の傷もある
どうするか…
『…疑っているか上官殿?』
「!」
『安心しろ、殺す気があったなら治療などしない』
「…俺は軍人ではあるがただの下っ端だ」
『…ふっ、そう言う事にしておこう。だが、ただの下っ端が辺りの見えない夜の森の中、傷を負いながら大勢から逃げると言うのは些か無理があるんじゃないか?』
「…」
『まぁ、腹を抉られても逃げる気力がある時点で並の軍人では無いがな』
軍服を着て出掛けた為、軍人である事は知られても良いが何処の軍人であるかは知られる訳にはいかない
コイツは何処まで知っている?
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作者名:°.雨の子.° | 作成日時:2019年10月2日 11時