翠玉の守護者 (ページ17)

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16話空翠からの旅立ちページ17

時間が経つのは早く採用試験を明日に控えた明け方
普段なら寝ている者もいる時間、殆どの森の民は見送りに来ていた

「しかし、モウムを使わなくてもよいのか？」

『あぁ、一晩野宿をするさそれにゆっくり見て行きたいからな』

「ラルド殿がそう言うならいいが…」

「守護者様が居なくなってしまうとは、寂しくなるな！」

「そうだな…」

「本当、翠玉様にはうちの子も世話になったよ」

次々と話しかけラルドが居なくなってしまう事を残念そうにしている
そんな様子の民を見たラルドは申し訳無さそうに話す

『…私は最後まで森を守る事が出来ない…すまない』

「…ラルド様、アンタはまだ若い…それに予言によって使命を見つけ果たす為に森を出るんだろ？」

『あぁ』

「なら、素晴らしいじゃないか！自分の与えられた使命を果たすんだよ。アンタは外の世界を見て触れて感じてこないと！私達は大丈夫さ、アイもいるしね」

『…ありがとう！』

1人の奥さんから言われた言葉はラルドの気持ちを軽くした
大人達の間を縫う様に抜けた少女が話し掛ける

「翠玉様！」

『？どうした』

「あの…翠玉様は！もうイーアルの森には帰ってこないの？」

『…私の使命を果たしたら帰ってくる』

「そっか…私！翠玉様が帰ってくるまでいい子で待ってるから…だから…早く帰って来てね？」

『あぁ』

「約束よ！後、これ！翠玉様の安全を願ってあげる！」

少女がラルドに手渡したのは美しい装飾の施された首飾り

『！これは…加護の護石か？』

「うん、森で見つけて作ってもらったの！」

『本当に貰ってもいいのか？』

「いいよ！大怪我しない様におまじないしたもん！」

『ありがとう、大切にする』

少女から受け取った首飾りを着け、民に向き直る

『では、行ってくる…みんなイーアルの森を頼んだ』

「いってらっしゃい！」

「元気でな！」

民の声を背に村を抜けるラルド
イーアルの森はいつもと違った朝を迎えた