13話 ページ14
「グルッペン、お前幾ら何でも急だろ」
「ん？そうか？取り敢えずラルド…だったか？」
「あってるぞ」
「よし、ラルド！俺の国に来い！」
『え、あ、その…』
「もう勧誘じゃねぇじゃん」
矢継ぎ早に話すグルッペンにタジタジになるラルド
『と、突然そう言われましても…』
「俺はお前を評価してこう言ってるんだぞ？」
『評価ですか…』
「そうだ、先程俺達を見つけた耳の良さ即座に武器を構えられる俊敏さひとらんの傷を直せる知識、何処の国の軍人かもわからない者にそこまでやるか？…それにひとらんから聞いたが遠くにいる敵の急所を的確に射る事の出来るその腕……それらを全て考え評価したんだ。あ、後目上の者に対する態度もか？」
「こっち見てニヤニヤすんな」
『…』
グルッペンはラルドを勧誘する理由を楽しそうに話す
そんな彼の様子にラルドはただ見ているだけだ
『…お言葉ですが、総統閣下が言う評価を満たす者は私以外にもおります…ですから…』
「自分を勧誘すべきでは無いと？」
『……はい』
「ふむ…」
森が認めたからひとらんを生かそうと治療し、“我々国の軍人”である彼を帰した
善意だけの行動では無い
『…』
「ラルド」
「ちょ！膝を付くのはマズイって！」
目を伏せ思い悩む彼女に泥を気にせず片膝を付き背丈の差はあれど目を合わせるグルッペン
一国の総統が膝を付くなんていけないとひとらんは辞めさせようとするがそれを片腕を上げ止める
「ラルド、いいか？確かにこれだけで総統たる俺自ら会いに来るなんて可笑しな話だ。だが、俺はひとらんからイーアルの森の事とお前の事を聞いた時、会いに行かなければなんて思ったんだ…」
『それは…』
「可笑しいだろ？部下の話だけで会った事もない奴に会いに行かないとなんて」
『…』
「だが、会って分かった」
この一言で空気が変わったのを肌で感じたラルド
「お前が欲しい…我が軍にお前を入れたいと心から思った」
『っ！』
ラルドはなんとも言えない胸の高鳴りを感じとる
白けた空に太陽が見えて来た
「もう一度言うぞ、ラルド、俺の国に来い」
木々が避ける様に太陽の光を森へ入れる
ラルドの前には光を背に手を差し伸べるグルッペン、彼の金色の髪は太陽によって美しい黄金に輝いていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 41人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：°.雨の子.° | 作成日時：2019年10月2日 11時
