翠玉の守護者 (ページ13)

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12話ページ13

『総統！？…っ！飛んだ御無礼を致しました』

男の名乗りにラルドは慌てて下げていた弓矢を地面に起きその場に跪く

「くっくっ…かしこまる必要は無い、お前は"まだ"俺の部下では無いからな話をしよう」

「…("まだ"って事はまさかコイツ！)」

『…』

「それに気配を消してこの森に入った事は間違いないからな、お前の行動は守る者として正しい…さぁ、顔を上げ立て…対等に話そう」

『…』

グルッペンがそう言うも跪いているラルド
相手は今や知らぬ者は居ない大国の総統だ、万が一でも気分を損ねる事があれば何を起こすか分からない。更に噂によれば総統は戦争好きと言われている為、ラルドは慎重になっていた

「…(ひとらん、ひとらん！どうしよう、この子全然動かないんだけど！！(ボソッ」

「…(お前のその無駄な威圧感のせいじゃね？(ボソッ」

「(な、なんだと！？(ボソッ」

綺麗な体制のままピクリとも動かないラルドに2人はコソコソと話し合う

「(ひとらんお前何とかしろ！あの子に前、世話になったんだろ！？(ボソッ」

「(はぁ？！お前が会いたいって言ったんだろ？！(ボソッ」

「(いいから！総統命令だ！！(ボソッ」

「(お前、覚えとけよ(ボソッ…あぁ～、ラルド？取り敢えず顔だけでも上げろよ」

『…だが』

「コイツは気にしねぇよ」

ひとらんの声におずおずと顔を上げ前に立つ2人を見るラルド
未だ跪いているが何とか顔を合わせる事が出来たひとらんとグルッペンはホッと息を吐いた

『…無礼を承知でお聞き致しますが…私に何用で』

「そうだな、まず我が軍に必要な人物であるひとらんを助けてくれた事に感謝を」

「俺からも改めてありがとう」

『いえ…私は森の意志に従っただけの事、お礼を言って頂く必要は御座いません』

自分の意志では無く森が認めた為、傷の手当てをしたに過ぎないと謙遜するラルドに笑みを浮かべるグルッペン

「…フッ、いいな」

『？』

「なに、こっちの話だ」

「…(本気で狙ってるぞコイツ)」

「そして、本題だが我々国に来ないか？いや、我々国の軍人にならないか？」

『…え？』

「…言っちゃったよ」

グルッペンの本題とはまさかの軍人への勧誘であった
ラルドは言われた意味を数秒考えたが驚きの余り頭が上手く回らない
急な勧誘にひとらんも呆れている様だ