翠玉の守護者 (ページ12)

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11話黒い太陽ページ12

『…』

数時間後には太陽が昇るであろう時間帯
ラルドは警備の為、木と木の間を飛び移りながら森の翁から言われた言葉を思い出す

『運命は止まらない…か』

ガサッ
と音を立てて草むらから出て来たのは黒い靄に包まれたアイアタル

『アイ、どうした？何か不審なモノでもあったのか？』

ラルドの声に応える様に体を揺らし何処かへ導こうとしている

『？…あっちに何かあるのか？』

先導するアイの後ろを疑問を持ちながらも歩く
いつしか森は静まり、伸びた葉がラルドに当たる小さな音が聞こえるだけだ

『…(森が静かだ…何時もなら夜行性の生き物が鳴いてたりするのに)…気を引き締めなければな』

先へ先へと進むアイを追いながらラルドはぽつりと呟いた
＿＿_
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未だ薄暗い森を歩き着いたのはひとらんが国へ帰る際に通った出口
アイはここに連れて来たかったと言う風にその場で止まる

『アイ、ここに何があるんだ？…見た所何も無いが………！そこにいる者出て来い』

出口には不審な物は無く只、草木があるだけだ
しかし、ラルドの耳は何者かが土を踏みしめる音を拾う
すかさず己の背に背負っている弓矢を音のした方へ向け声を掛ける

『今すぐ出て来い、不審な事をしようものなら貴様の命は無いと思え………10数える、その間に出て来なければ射る…10、9、は「待て！待て！」

ラルドの殺気に慌てて草むらから出て来たのは我々国に帰った筈のひとらんであった

『ひとらんらん！？お前、何故ここに居る？』

まさかの人物に構えていた弓矢を下ろす

「あぁ～…いや、そのな…」

『？』

何やらまずい事があるのか言い澱むひとらんにラルドは首を傾げる

「その…お前に会いたいって言う奴が居て…」

『私に会いたい？』

「あぁ、そいつはそのぉ…立場が…」

『？』

「えぇい！まどろっこしいぞ、ひとらん！」

大きな声と共にひとらんが出て来た草むらから飛び出して来たのは黒い軍服を着た金髪碧眼の男

「おっ前！何出て来てんだよ！今こっちが説明しようとしてたのに！」

「はっはっは！俺が直接話した方が手っ取り早いだろう！」

出て来た人物に対して声をあげるひとらんだが、金髪の男は御構い無しと笑う

『….』

「おっと、名乗りが遅れたな…俺はグルッペン・フューラー我々国で総統をしている」

夜明けが近いのか空は徐々に白む