翠玉の守護者 (ページ2)

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1話白日の始まりページ2

無数の星が宙より溢れていた夜
静かな森の中で草木を掻き分ける音が聞こえる

「探せ！まだ遠くには行ってない筈だ！！」

片手には松明を持ち反対の手には剣を携えた数人の男達が何かを探すように森を進む

「…行ったか？」

巨木の根元に隠れるように座っているのは白い軍服を赤く染めている一人の男

「はぁ…ぐっ！…早く、諦めてくれねぇかな…」

何かで抉られたのか腹部からは絶え間無く血液が流れている

「くっそ…あぁ…血を流し過ぎた…か…」

朦朧とする意識の中暗いはずの森に翠に光る何かを見たが、それが何なのかを知る前に視界は黒く染まった

_________
side⁇

『血の匂いがすると思ったがやはり…』

巨木に寄り掛かり気絶している男の前に立つ彼女に忍び寄る複数の影

「そこのお前、今すぐそこを退け」

『…』

「我等はお前の前にいる奴に用がある」

『…』

この言葉から彼等は白色の彼を先程から追っていた者達だと分かる

『１つ聞きたい』

「…何だ」

彼等の代表だろう者は目的の前から動かない彼女に苛立っているのを隠そうともせずに返事をした

『…何故、彼を追う？』

「…」

『彼の身なりは何処かの軍に所属している者だ。お前達は何の為に命を狙う』

「チッ…奴の首を取れば我等の強さを示せる、なんて言ったって"復讐鬼"の首だ！いいアピールになるだろ？」

彼女に男はまるで己達が最も強いと確信した様に語る
彼女はそれを黙って見つめ呟く

『…そうか、ただそれだけの為に命を奪うのか…』

「いい加減にそこを退け！」

『断る』

「な！？」

まさか断るとは思わずにいた男は次の瞬間、怒りを顔に浮かべる

「貴様…死にたいらしいな」

『…』

「いいだろう、望み通り殺してやる…やれ！」

男の声に後ろで成り行きを見ていた仲間達が彼女へ襲い掛かる

『遅いぞ』

何が起こったのか理解出来なかった…
一瞬…たった一瞬風を切る何かによって己以外の仲間が倒れた

「っは！…な、何をした！！」

『…』

「くそ！獣風情が舐めやがって」

『…もういい』

彼女の言葉を最後に男の命は尽きた

『さて、傷を見なければな』

地面に倒れている者達を尻目に気絶している男を担ぎ足を進めるが、途中で振り返りナニカに話し掛ける

『あぁ、食っていいぞ』

その一言で倒れていた男達は黒色のナニカに呑み込まれていった