世界は箱庭 (ページ37)

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31話ページ37

『円堂君らしいって言ったら…ふふ、らしいね』
「A笑い事じゃないぜ？」
「あ、ははは」

呆れた様子の部員達に円堂はすまなそうに頬を掻く
そんな彼の後ろから扉を開ける音と共に話し掛ける人が

「野生中ですよ」
「ん？」

みんなの目線が扉へと集まる
そこに居たのは形ばかりの顧問兼監督の冬海

「野生中は確か…」
「昨年の地区予選で帝国と戦ってます」
「すっげぇ！そんな強いチームと戦えるのか！」

冬海の言葉に続く様に音無が話す
それを聞いた円堂はまだ見ぬ相手に意気込む…だが

「初戦、大差で敗退なんて事は勘弁してほしいですねあぁ、それから…」
「チースッ！俺、土門飛鳥一応DF希望ね」
「「あっ」」
『…』

嫌味を言う冬海の後ろから1人の生徒が顔を覗かせる
その生徒を見て反応する者が数人

「君も物好きですね、こんな弱小クラブに入部したいだなんて」

それを知らずか冬海は新しく来た土門に話した後部室を去るのだった
そんな顧問を不満げに指差す土門に木野が声を掛ける

「土門君」
「あれ？秋じゃない、お前雷門中だったの？」
「何だ、知り合い？」
「うん、昔ね」

一先ず再開の挨拶が終わったのか円堂は土門の手を取り話す

「兎に角、歓迎するよ！フットボールフロンティアに向けて一緒に頑張ろう！！」

円堂の勢いに押されながら土門は

「っ相手、野生中だろ？大丈夫かな？」
「？」
「何だよ、新入りが偉そうに」
『染岡君』
「っ…」
「？、前の中学で戦った事あるからねぇ… 瞬発力、機動力共に大会屈指、特に高さ勝負には滅法強いのが特徴だ。」

土門を睨んでいた染岡はAが名前を呼んだ事で睨む事を止める
それを疑問にしながらも語られた野生中の特徴に唖然とする部員達

「大丈夫だ、俺達にはファイアトルネード、ライトニングセイバー、ドラゴンクラッシュ、そしてドラゴントルネードがあるんだぜ！」
『…(ライトニングセイバーとドラゴンクラッシュは高さ関係無いと思うけどなぁ)』
「どうかなアイツらのジャンプ力、とんでもないよ？ドラゴントルネードだって上から抑え込まれちゃうかも。」
「んな訳ないだろ」
「土門の言う通りだ、野生中となら俺も戦った事がある。
空中戦だけなら帝国をも凌ぐ、あのジャンプ力で上を取られたら…」
　
対峙した事のある二人に言われたからだろう、全員の不安が増していく中
　
「新、必殺技だぁ！新しい必殺技を生み出すんだよ、空を制するんだ！」
　
円堂がそう振り切って皆を鼓舞するのだった