【八犬伝-東方八犬異聞-】雨が降り続けても止んだら空が見える

16．里見莉芳登場 ページ17

浜路「着物はイヤ、信乃と弑揺が似合うもの。地味な修道服も大嫌い。ああでも黒は好きよ。リボンもお揃いにして、安物はイヤ。靴も黒、ヒールは7センチ。それ以上でもそれ以下でもダメよ。それからお茶はローズヒップとレモングラスをブレンド、スコーンにはサワークリームをたっぷりね。生ハムとチーズも食べたいわ〜お茶のおかわりはアールグレイがいいわね」

要「......キミ、本当に可愛気がないね」

浜路「人を拉致した挙句こんなトコに閉じ込めておいてどの顔下げて言ってんの？このキツネ男！！」

要「あの三人をここに招待するためにはキミが必要だったんだよ...それにしても大塚村の生き残りの娘は噂じゃもの凄く美人って聞いたけれど噂はアテにならないね」

浜路「あら、それは本当よ。だって信乃兄様と弑揺兄様のことだもの。本当にお人形みたいで私なんか足下にも及ばないくらい綺麗。特に弑揺兄様わね...」

要「お人形みたいなお兄様」

浜路「15になるまで女の子の格好をさせると丈夫な子に育つって慣習があったのよ。でも弑揺兄様は違う理由だけどね」

要「ふうん...(その理由気になるな)。あ、調べてみたら君は養子だったね？羨ましいかい？愛されて育ったその彼らが」

コイツ...

浜路は飲んでいた紅茶を置く。

浜路「いいえ？だって私小さな頃から信乃と弑揺と荘介に大事にされてあなたのようなキツネ男とは無縁でしたもの♡」

すっごく気に入らないわ！！地獄へ落ちろ！！

要「...ふーん。あ、お茶おかわりする？」

浜路「いただくわ」

・

・

シューーーーッ

弑揺「音がうるさいなあ...」

荘介「ここが帝都ですか」

信乃「うへーすっごい人混み」

弑揺「人酔いしそう...」

荘介「大丈夫ですか？ちゃんとついて来て下さいね、宿に着けば少しは―――」


「犬塚信乃、犬鳴弑揺、犬川荘介」

「教会本部の命により君達を迎えに来た。長老達も首を長くしてお待ちだ」

荘介「申し訳ありませんが荷物もありますし先に宿に寄らせてもらえますか？」

「その必要はない。こちらで用意済みだ」

弑揺「一々感に触る言い方...」

教会のやつらには聞こえない様にボソリと呟いた。

「それにしても本当にこんな子供で間違いないのか」

信乃「テメエ...！」

弑揺「ムカつく...！」




莉芳「犬塚信乃」




名前を呼ばれ信乃は振り向く。


あれ...この声どっかで...

莉芳「遅かったな、待ちかねたぞ」

莉芳は弑揺を見る。




莉芳「それと―――久しぶりだな弑揺」

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