26 side.JN ページ27
JN「アイが最後になると必ず夜遅くまで時間を掛けるだろ？だから､俺を最後にしてもらったんだ」
あの日が､彼女の涙を見た最後の日｡
彼女はレコーディングが終わってもう帰ったと聞いた｡
だから､俺もなるべく早く終わらせた｡
練習室に戻って､荷物を取りに行こうとした｡
―――…もう､嫌…
小さな泣き声に混ざった､嫌悪の声色｡
すぐに分かったんだ｡この声は､アイだって｡
電気もついてない真っ暗な部屋から聞こえてきた｡すすり泣く声が､少しづつ大きくなる｡
パチ､と電気をつけると驚いた顔をした彼女と目が合った｡
『じぇ､のひょん…』
JN「…ヒュリや､どうしたの？」
『…なんでもな――』
JN「何でもないわけないでしょ｡……それとも俺じゃ頼りない？」
出来るだけ悲しそうに見える顔を作って彼女に聞くと､ゆっくりと首を横に振った｡
『…ジェノヒョンは､いつも気付いてくれるから…迷惑掛けたくなくて』
JN「可愛い妹の悩みを聞いたりすることの何が迷惑なの？むしろ､ヒュリの強いところしか知らない方が俺は怖いよ｡だって､ヒュリの限界を知らないってことになるでしょ？」
だから､俺に話して欲しいな｡と言えば彼女は素直に口を開いた｡
『……ジェノヒョンは､歌うのが好きですか？』
JN「好き…かな？」
『私も､大好きなんです｡でも､上手くないんです｡何回も注意されたことが出来なくて､ため息をつかれてしまって…一人で練習しても､どんどんマイナスな方向に行っちゃって…』
JN「ヒュリはさ､ダンスしながら歌ってる時､綺麗な声するんだよ｡音を掴み切ったらすっごく強いんだけど…人より大きな才能を持ってるから､少し不利が多いかもしれないね」
『…大きな才能？』
JN「ヒュリは､音さえ掴めばダンスも歌もラップも一通り出来るでしょ？それってすごく大きな才能だと思うんだ｡ダンスをしながら歌っても声がブレないし､よく伸びて綺麗だし､何回も聞きたいなぁ､見ていたいなぁって､そう思わせるのもヒュリだけの才能だよ｡だけど､その大きな才能を咲かせるのに､人より大きな苦労が必要なんだ｡苦労する分だけ､それはヒュリの魅力になる｡俺はそう思うよ」
正直､彼女の才能に羨望を抱いたことだってある｡なんでも一通りできてしまう彼女に､舌を打ちたくなったこともある｡それでも彼女を嫌ったことはない｡
努力ありきの才能を彼女が持て余してしまうのなら､その救いになりたかった｡
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su4a54fpds(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです。 (2020年7月18日 0時) (
レス) id: 93a8daf531 (このIDを非表示/違反報告)
ココ(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！！！！ (2019年11月8日 7時) (レス) id: 034759dbd3 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - ぱーむむさん» ありがとうございます！！雑な終わり方で申し訳なかったです…！続きは内容を考えてみますね！近いうちにどっちかが上がると思いますので､楽しみにしていただけたら嬉しいです！ (2019年9月14日 0時) (レス) id: 396d1f30b5 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - かんめいさん» コメント助かります！！二人の小説は確かに少ないですよね…！個人的にはチソンくんの方が書きやすいので､チソンくんかなぁ…と｡続きは内容を､考えてみます！ (2019年9月14日 0時) (レス) id: 396d1f30b5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱーむむ(プロフ) - 毎日更新されるの楽しみにしながら見てました！ このお話の続きも見たいです！ (2019年9月13日 18時) (レス) id: 9e8d1002e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まる | 作成日時：2019年8月15日 4時
