17 side.RJ ページ18
初めてヒュリを見たのは､彼女がたった一人で練習していた時だった｡
それは､非公開練習生でも滅多に使えない練習室｡
ここは､許可を取らないと入れない場所だ｡
彼女が事務所の推したい子だというのは､非公開練習生の中でも有名だった｡
それだけの実力があるからこそ､重宝されるのだろう｡
防音の部屋に聞き耳を立てると､小さく音楽が流れている｡
テンポの速い､激しい音楽｡
それは歌手のいない音だけのもので､タイミングを掴むのが難しそうだった｡
彼女は初めの方､音楽を聴くだけで､目を瞑りながら手を動かしていた｡
うねうねと曖昧な動きをする手首｡
―――なんだあれは｡
あれが､事務所の推したい子なのか？
はっきりとしない振り付けが､お偉いさんの誰かにでも刺さったのか？
そう思った｡
口の端を僅かに上げて､彼女を笑った｡
音楽が止まって､俺はそこから離れようとした｡
言いふらすつもりはないが､なんだか気分がよかった｡
それは､突然変わったんだ｡
―――ダンッ！！
と､音がして耳と目が再び吸い寄せられた｡
さっきと同じ音楽が流れる｡
だけど､彼女は全く違った｡
しなやかに動く手足
メリハリの付いた動き
音楽を､音を掴み取ったかのようにダンスと音が嵌っている｡
緩やかに広がる髪が､一つの振りのように見えた｡
彼女は､何も劣ってなんかいない｡
見る者を圧倒する｡
だけど､なんだか踊りたくて仕方が無くなった｡
動きたいと､身体が言う｡
これが､彼女の力なのか｡
俺は､さっきとは違った笑みが浮かんだ｡
圧倒されたが､初めて一緒に踊ってみたいと思った人物に出会えたことが嬉しかった｡
うずうず､と練習に戻りたくなる｡
デビューできるかは分からないけれど､同じステージに立ちたい｡
それから､一ヶ月も経たないうちに彼女とのデビューが決まった｡
ハン･ヒュリ
俺が初めて同じステージにいたいと願った人｡
彼女は､やっぱり綺麗だった｡
年下の彼女は､痩せたのか線が細くなっていた｡
あの日見た彼女は､もっとこう…豊かな感じがしたのに｡
ダンスをする前の癖｡
音楽を聴いて､うねうねと手が動く｡
音を掴むと彼女は､誰よりも呑み込みが早い｡
チョンロ以外は､なんだか彼女の歌やラップに違和感を覚えていたようだけど
ダンスをしながら歌う彼女は文句なしに上手かった｡
――――ダンスが､違う｡
あの時､そう感じた｡
でも､聞けなかった｡
だってヒュリは､たった一人なんだから｡
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su4a54fpds(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです。 (2020年7月18日 0時) (
レス) id: 93a8daf531 (このIDを非表示/違反報告)
ココ(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！！！！ (2019年11月8日 7時) (レス) id: 034759dbd3 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - ぱーむむさん» ありがとうございます！！雑な終わり方で申し訳なかったです…！続きは内容を考えてみますね！近いうちにどっちかが上がると思いますので､楽しみにしていただけたら嬉しいです！ (2019年9月14日 0時) (レス) id: 396d1f30b5 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - かんめいさん» コメント助かります！！二人の小説は確かに少ないですよね…！個人的にはチソンくんの方が書きやすいので､チソンくんかなぁ…と｡続きは内容を､考えてみます！ (2019年9月14日 0時) (レス) id: 396d1f30b5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱーむむ(プロフ) - 毎日更新されるの楽しみにしながら見てました！ このお話の続きも見たいです！ (2019年9月13日 18時) (レス) id: 9e8d1002e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まる | 作成日時：2019年8月15日 4時
