きっと枯れない花だから/kwmr ページ47
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ひらりと桜の舞い散る中、弱々しくベッドに腰掛けた女がいた。
「……河村さん。あなたは美しい。その艶やかな髪だって、その瞳だってそうです。肌のそれはもう白いこと。まるで神さまが目の前にいるかのようです」
この際思ったことを言ってしまおう、と彼のいいところを伝えた。しかし、彼は顔をしかめてしまった。
「あなたが認識している僕は、どれだけ美しいのでしょうか。僕はそんなに完璧な人間ではありません」
もし僕が神さまだったら、今すぐにでもあなたのことを救えるのに。
泣きそうな、少しだけ震えた声だった。美しい顔は歪められ、ぐしゃぐしゃになってしまっていた。
「そんなお顔をしないでください。あなたには笑っている姿がとても似合います」
そんな顔をしてほしくはなかった。あなたが悲しんでいる姿なんて見たくない。エゴであろうが関係ない。あなたに笑って幸せになってほしかった。こんな女のことは忘れて。
「あなたがいなくなったら、僕は二度と笑うことなんてできませんよ、Aさん」
「そんなことはありません。あなたはいつか私のことを忘れ、幸せな日々を過ごすことでしょう。それがいいことなんです」
そう、これは私のエゴだ。彼に幸せになってほしいという私のエゴだ。河村さんの気持ちなんて考えていない。優しい彼にとってはこんな私でも忘れることなんてできないのだろう。
「私以外にも人間なんていくらでもいます。一人に固執する必要はありませんよ」
「それでも僕は、あなたじゃなければだめなんです。あなただけなんです」
「私はもう先が長くありません。あなたに迷惑をかけたくないんです」
顔がこわばる。これ以上話すと泣いてしまいそうだった。
「あなたの病気は治してみせます。決して迷惑なんかじゃありません。僕と一緒にいてはくれないでしょうか」
ああ、神さまよ。こんなにも優しい彼を、私が縛り付けてしまうことをお許しください。
いまだに桜の花は、生き生きと咲いていた。
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フウ(プロフ) - 蓬さん» コメントありがとうございます！この度は更新の多大なる遅れ申し訳ございませんでした。これからもよろしくお願いします！ (2019年7月24日 14時) (
レス) id: a1f34fb80a (このIDを非表示/違反報告)
蓬(プロフ) - sgiさんのお話ありがとうございました！ (2019年7月24日 6時) (レス) id: a4faecbd39 (このIDを非表示/違反報告)
フウ(プロフ) - 蝶月さん» コメントありがとうございます！ご期待に添えたのであれば幸いです！ (2019年7月23日 14時) (レス) id: a1f34fb80a (このIDを非表示/違反報告)
蝶月(プロフ) - リクエストに答えていただきありがとうございました！ (2019年6月30日 15時) (レス) id: 7e6d09238a (このIDを非表示/違反報告)
フウ(プロフ) - れいちすさん» リクエストありがとうございます。ドSいいですよね！なるべく期待に添えるよう努力します。 (2019年6月18日 19時) (レス) id: a1f34fb80a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フウ | 作成日時：2019年5月13日 22時
