取られたくないから/kwmr ページ5
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ここはとある花畑。私は四つに裂けたライラックの花弁をそっと見つめていた。どこかで聞いた話なのだが、この花弁が五つに裂けているものを誰にも言わずに飲み込むと、愛する人と永遠に過ごせるらしい。私は愚かにもそれを探している。
「あ、あれかな」
少し日が傾き、そろそろ帰ってしまおうかと思った時、私は五つに裂けているライラックの花を見つけた。それをすぐさま飲み込もうとする。
「Aさん」
すぐに後ろを振り返る。花びらの舞う中、河村さんがそこにいた。ゆっくりと私に近寄り、目の前でしゃがみこむ。
「Aさん。花びらなんて食べたらお腹をこわしますよ」
私は花びらを手に取っただけだ。意味を知らない人からしたら、私はただ花びらを見つめているようにしか見えないはず。それなのに、彼は私がこれを飲み込もうとしていたのを知っていた。
「なんで、ここにいるんですか？ 」
「Aさんが何かを探していたようなので」
彼は私がなんの意図でここにいたかを理解している。せっかく誰にもバレないようにしていたのに。
「……あなたは、誰を想っていたのですか？ 」
まさか本人にそう聞かれる時がくるとは想像すらしていなかった。いっそこのまま思いを伝えてしまおうか。
「そうですね……。その人は、私の目の前にいます」
「それって」
「もちろん、あなたのことですよ」
まさか本人がくるとは思いませんでしたが。と私は笑った。すると、彼は安心したようにホッとしている。どこか嬉しそうだ。
「っ、よかったです」
何故、と私が聞く前に、彼がゆっくり口を開いた。
「あなたがそれを飲み込んだら、僕にチャンスがなくなってしまうのではないかと、心配していたんですよ」
照れ臭そうに話す彼の横に、五つに裂けたライラックの花が咲いていた。
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フウ(プロフ) - 蓬さん» コメントありがとうございます！この度は更新の多大なる遅れ申し訳ございませんでした。これからもよろしくお願いします！ (2019年7月24日 14時) (
レス) id: a1f34fb80a (このIDを非表示/違反報告)
蓬(プロフ) - sgiさんのお話ありがとうございました！ (2019年7月24日 6時) (レス) id: a4faecbd39 (このIDを非表示/違反報告)
フウ(プロフ) - 蝶月さん» コメントありがとうございます！ご期待に添えたのであれば幸いです！ (2019年7月23日 14時) (レス) id: a1f34fb80a (このIDを非表示/違反報告)
蝶月(プロフ) - リクエストに答えていただきありがとうございました！ (2019年6月30日 15時) (レス) id: 7e6d09238a (このIDを非表示/違反報告)
フウ(プロフ) - れいちすさん» リクエストありがとうございます。ドSいいですよね！なるべく期待に添えるよう努力します。 (2019年6月18日 19時) (レス) id: a1f34fb80a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フウ | 作成日時：2019年5月13日 22時
