たとえ季節が移り変わっても。

いつかその時は/tkhs ○リクエスト ページ9

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「高橋さーん！どうして避けるんですか！ 」
　目の前に立ち塞がるかのように両手を広げるAさん。自分より身長が低いため、あまり役に立っていないが。かわいい。

「用事があっただけですよ、避けてませんから」

　本当ならもちろん彼女と会話をしたいところではあるが、悲しいことに、自分の素直になれなさが異常なくらい強いため、それは叶っていない。

「むー、私は高橋さんとお話がしたいんです！今日こそは逃がしませんからね」

　少し頬を赤らめて話す彼女はとてもかわいらしい。が、二人っきりで会話というのはハードルが高すぎるのではないかと思う。

「仕方ないですね」

　なんてやれやれとでも言いたげな声で話すが、実は嬉しかったりする。こういうところで素直に感情を伝えられない自分の愚かさが悲しい。

「やったー！じゃあじゃあ、あっちに行きましょう！ 」

　さりげなく僕の手を引っ張っていくAさん。彼女がこっちを向いていなくて助かった。今自分の顔は真っ赤っ赤だろうから、見られていたら恥ずかしすぎて死にたくなる。

　これだけ僕にも話しかけてくれるのに、どうにも素直になれない自分が悔しい。でも、今は彼女の優しさに甘えていよう。

　いつかは素直になるぞと思いながら、今だけはいかにも不服そうな表情で彼女に話しかける。

「手を引っ張らなくても僕は歩けますよ」

　本当に素直になれる日はくるのだろうか。

あなたの全てが/sgi→←結局あなたも/fkr

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