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アビスの悋気/wtnb ページ38

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 このオフィスには男性陣のライターが多い。おそらくだが7割以上は男性が占めているのではないだろうか。女性のライターがあまりいないため、ライターの女性はかなり甘やかされる。その例に漏れず、俺の彼女も甘やかされる側の一人だった。

「Aはかわいいよなー! 」
「ほんと、このオフィスも華やかになるよねー」

 伊沢さんや須貝さんに囲まれ、照れながらも謙虚に話すAはとてもかわいらしい。自分で自覚を持ってほしいものだ。彼女が知らない男に見られるたび、その男を奈落の底に突き落としたい気分になる。

 今だってそうだ。いくら俺達の関係を理解している人だからといって、Aに近づきすぎではないだろうか。


「こうちゃーん、どうしたの?そんなに怖い顔しちゃって」

 どうやら色々と考え込んでいるうちに、あの人達との会話は終わっていたようだ。真っ先に自分のところへと来てくれたことが嬉しく、少しだけ機嫌が直る。ここまで嫉妬深いと自分でも笑ってしまう。

「もしかして、怒ってる? 」

 聡明な彼女は何が理由で怒っているかも理解しているらしい。すぐに謝罪し、抱きついてきた。ふわりとAから香りがただよい、ここがオフィスでなければキスのひとつはしていた。

「もう怒ってないよ。でも、Aが一番にきてくれなかったのは悲しいけど」

 わざとしょぼくれた顔をすると、Aは慌てて言葉を並べる。その必死さに、自分の心の中が満たされた気がした。

「じゃあ、キスしてくれたら機嫌直すよ」
「え、ここオフィス」
「もうA知らなーい」

 ぷいっ、と顔を背ける。自分でも子供っぽいとは思うが、こうでもしないと心の中で嫉妬心が爆発しそうだった。

「わ、わかったよ」

 チュ、と触れるだけのキスではあったけど、それだけで機嫌がぐんぐんよくなるのを感じられた。

「続き、帰ったらね」

 ボソリと彼女にしか聞こえない声量で呟くと、彼女に「いつからこんなに男らしくなっちゃったの……? 」と赤い顔で言われた。

知らない天井で/ysd→←愛を込めて/sgi ○リクエスト



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設定タグ:QuizKnock , 東大王 , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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フウ(プロフ) - 累さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです!続編を作ろうかと考えておりますので、そちらでもどうかよろしくお願いします。 (2019年5月13日 20時) (レス) id: a1f34fb80a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - シチュエーション、描写など、とても気に入っています。新しく更新されたkwmrさんのお話がとにかく衝撃的で、思わずゾクッとしてしまったことをお伝えしたくて書き込みさせて戴きました。大好きです。これからも応援しています。 (2019年5月13日 14時) (レス) id: 8e15c25e26 (このIDを非表示/違反報告)
フウ(プロフ) - 茶之助丸さん» コメントありがとうございます!文才なんてないんですよね、悲しいことに笑逆にわけていただきたいくらいですよ! (2019年5月6日 6時) (レス) id: a1f34fb80a (このIDを非表示/違反報告)
茶之助丸(プロフ) - ありがとうございました!毎回呼び方などが違うのに山本さん感漂ってて凄い…文才分けてほしいです!笑 (2019年5月6日 1時) (レス) id: 1cdd5a0197 (このIDを非表示/違反報告)
フウ(プロフ) - 茶之助丸さん» リクエストありがとうございます。今書き溜めているお話が数点ございますので、それの後に書きます。なので少し遅くなってしまいますがしばしお待ちください! (2019年5月4日 1時) (レス) id: a1f34fb80a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フウ | 作成日時:2019年4月8日 21時

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