たとえ季節が移り変わっても。

ゆっくりでいいから/kwmr ページ18

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　人とあまり関わりのなかった私は、最近お付き合いをしている河村さんとの接し方がよくわからなかった。最近になって恋を知り、それは嬉しいことに恋が実ったわけなのだが。

「と、いうわけで。恋人らしいことってどんなことなんですか？ 」

　優しげな瞳で私を見つめる河村さんは、いつ見ても綺麗だ。彼には眼鏡がよく似合っている。彼の目を見ていると、引き込まれてしまいそうな感覚に陥る。

「そうだねえ、別に急がなくてもいいとは思うけど」
　私を落ち着かせてくれる声で河村さんは話す。

「そうですか？私、よくわからなくって、河村さんに迷惑かけてないかなって」


　その続きを話そうとしたのだが、気づくと河村さんに抱きしめられていた。彼の爽やかな匂いが、気分を落ち着かせてくれる。


「焦らなくていいんだよ、ゆっくりでいいの」


　そう言いながら、私の頭をポンポンと撫でてくれる。その行為に、無性に安心感を覚えた。河村さんはゆっくりでいいと言ってくれたし、焦らなくていいと言ってくれたのはとても嬉しかった。


「あ、でもさ」

　思いついたかのように彼は笑う。この笑い方の彼は、だいたい何か企んでいる時の顔だ。

「僕から、このくらいはさせてよ」


　チュ、と音を立てながら、河村さんは私の頬にキスを落とした。私は驚きと羞恥心で顔を赤らめてしまった。河村さんの顔はしてやったりとでも言いたげな表情をしている。


　この人と付き合えて嬉しいなあ、という気持ちと、この人には一生翻弄され続けるのだろうなあ、と心臓の高鳴りを感じながら、私はそう思った。

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