46話 ページ5
「け、京治…落ち着いて…」
私はそーっと京治の肩をトントンと叩く。
「…だって」
京治がスマホを見ながら小さく呟いた。
「あの野郎Aが自分のとこのマネージャーになったからって無茶苦茶自慢してくるんだよ…!?」
うん、これは黒尾が悪いわ。京治に自慢とかしちゃいけないから。うん。
先輩をあの野郎呼びするほどに怒ってるよ。
「で、でも…京治、学校は一緒なんだし…ね?」
私は背伸びをして京治の頭を撫でる。
その時だった。加奈が慌てたような声で私達に向かって言う。
「A!木兎がどっか行った!」
…え。嘘でしょ?木兎が…迷子…?ま、まあでもすぐ見つかるでしょ!
木兎だし。
「あれ…ちょっと待って?私の部屋の扉開いてない?」
気の所為か、光太郎の仕業か。扉は確かに少しだけ開いている。
廊下の窓は開いているけど、これっぽっちの風じゃ扉は開かない。
だから正直言って、光太郎の可能性の方が高い。というかほぼそう。
「おーい、光太郎ー。」
私は扉を開けながら、光太郎の名前を呼ぶ。
其処には、こっくりこっくりとして眠ている光太郎の姿が。
ああ、ずっと会話に入ってこれなくて暇だったからかな…。
「…おやすみ。」
私は髪が下がっている光太郎の髪をサラリと撫でる。
下ろしていた方がカッコいいんじゃ?
「おー、寝てんねぇ。」
寝ている姿はまさに小動物だった。デカいけど。
「穏やかなもんだよね。起きてる時は煩いのに」
京治がふうっと溜め息をついてそう言った。
まあ、それは否定できないかな。
それにしても、光太郎をほっといちゃしょぼくれちゃうよね。
さて。布団敷きますか。
「布団敷くから手伝ってー」
私は2人に声をかけ、押入れ兼隠れ場所から布団を出していく。
「えっなんか分厚くない?うちのと全然違うんだけど」
「気のせい気のせい」
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水無月のぞみ - 徹底的に悪女は潰した方がいい!ウザすぎ! (11月16日 2時) (レス) id: ba8b16685c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ウェルカム | 作成日時:2018年7月28日 11時