【番外編】黒尾鉄朗との出会い2 ページ12
今日は、お母さんが家にいないから…大丈夫だよね?
私はガチャリと扉を開けて玄関へと走って行く。
今はメイドさん達は休憩中だから厨房にいるはずだ。
「何処に行くつもりなの。A。」
お、お母さん…!なんで…?今日はお買い物の日なのに…。
何か言い訳しなくちゃ…!
「え、えっと…外のお花を見に…」
「嘘は駄目よ。鉄朗君と遊びに行くんでしょう?」
なんで分かったの…?バレないようにしてたはずなのに…。
それに、名前も教えてすらいないのに…。
「あの子は駄目よ。あの子は1人なの。本当の家族なんていない。いるのは偽物の家族よ。家でもいじめられているらしいわ。」
偽物…?家族が…?それってつまり、お父さんとお母さんがいないの?
それに、家で意地悪されてるって…鉄朗君からそんなの一言も聞いたことない。
「見合うなんて関係ないもん!鉄朗君は優しくて、元気で、良い子なの!」
私はそれだけを言って家を飛び出した。
早く鉄朗君に会いたいよ…。
後ろからお母さんの声が聞こえたけど、全部無視して、一目散に走った。
「鉄朗、君!」
「息きれてるぞ?大丈夫か?」
彼に抱きつけば、彼は頭を撫でてくれる。
鉄朗君は、悪くない。悪いのは、鉄朗君のお母さんとお父さんだ…!
「ね、鉄朗君。服捲ってみて」
私がそう言うと、鉄朗君は首を傾げる。
んー…捲ってみるか。
私はそう思い、彼の服を捲った。
腕には、痛そうな怪我が沢山あって、絆創膏が貼ってない怪我もあった。痣が殆どだ。
「鉄朗君…。なんで相談してくれなかったの?私はいつでも相談にのるって言ったよ…!」
鉄朗君は下を向いたまま、こちらを見ようともしない。
どうすれば鉄朗君を救えるのかな…。
「…この怪我、気持ち悪いよね…隠してたつもりだったんだけどな…。俺の事嫌いになっただろ?」
俯きながら、鉄朗君は確かにそう言った。
「嫌いになんかなってない!鉄朗君は良い子だもん!悪いのは鉄朗君のお母さんとお父さんだもん!」
私がそう言うと、公園の入り口の方から声が聞こえて来た。
「合格よ、A。」
この優しい声色は、お母さんだ…!でも合格って?
「鉄朗君の親が決まったわ。名だたる名家の黒尾家よ。私の会社の傘下だし、無礼を働けば即切るから大丈夫よ。」
「お母さん、親が決まったって…」
親が決まったってどういうこと?鉄朗君はどうなるの?
「要は、お父さんとお母さんが変わるのよ。」
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水無月のぞみ - 徹底的に悪女は潰した方がいい!ウザすぎ! (11月16日 2時) (レス) id: ba8b16685c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ウェルカム | 作成日時:2018年7月28日 11時