惑わせる彼Ⅴ【紫】 (ページ44)

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もてなしスギページ44

渡辺「夜はまぁ、ちょっと考えてんだけどさー、なんか見たいのあんの。」

『映画かー、最近のチェックしてないからわかんないや』

渡辺「だよなー、俺も。」

案内された駅の前の総合施設の６階にある映画館に着いたものの
お互いあんまり映画に詳しくない・・・

というか

無頓着だったから、ポスターが並ぶ前で二人仁王立ちをする。

渡辺「涼太には、あれがおすすめって言われたんだけどさぁ・・・。」

『あぁ、幼馴染の宮舘君？』

渡辺君が指さす先にある新作のポスターには
叶わぬ恋二人が紡ぐ最高の恋愛＿＿＿

あー、あんなにロイヤルで落ち着いた幼馴染君のおすすめっぽい。

キュンキュン系ね

渡辺「俺、ああいうの無理。」

『わたしも、ちょっとこっぱずかしいかな(笑)』

渡辺「どーすっかなぁ。」

ちらっと視線を変えると少しだけ気になる作品があった
海外の映画だけど、アクション系だから退屈はしないかも？

『んー、私はあの映画に一票入れるかな。』

渡辺「んじゃそれにしよ。席どこがイイとかある？」

『とくにはないかな！』

渡辺「じゃあA、先飲み物の列並んどいて」

『？？はーい。』

さすがの休日だし、映画館は人でごった返してる
カップルに家族連れでいっぱい

なに飲もうかな、なんて考えながら８人くらい並ぶ列に並んでると
ふらっと渡辺君が列に合流してきた

渡辺「はい、これ。」

『え。チケット？買ってくれたの？』

渡辺「まぁまぁいい場所とれた。あ、ポップコーン買おうぜ」

『まって、今チケット代出すから！』

渡辺「あー、いいよ。俺のおごり。」

少しだけ得意げに渡してきた映画のチケットは今から１５分後に開場するもので
意外にも後方の席二連だった。

『なんか、今日は気前がイイね、しょっぴー！』

渡辺「まぁーな。何味のポップコーン買う？」

『そりゃバター醬油一択でしょ』

渡辺「は？キャラメルしか勝たん。」