惑わせる彼Ⅴ【紫】 (ページ32)

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深澤「てかさ、最近二人で帰ってんの？」

『あぁ、渡辺君とですか？なんか最近いろいろあって。』

深澤「そうなの？ヤダなぁ、嫉妬しちゃうよ俺。」

『嫉妬・・・ですか？』

深澤「俺だって、Aちゃんの事心配だもん？」

『そんな。勘違いしますって(笑)やめてくださいよ！』

深澤「俺、今日会えてマジでうれしいの。」

さりげなく、車道と私の間に割って入って歩いてくれる彼が
より一層私をときめかせる

夜道で彼に会うとなんだか彼に揺れてしまう

『じゃあ、初めてちゃんと言います。私も』

深澤「え？なにを？」

『このお菓子、本命ですから！』

深澤「本命？・・・まじ？じゃあ受け取ったわ」

『本命。受け取ってください、ね。』

深澤「翔太とかには？本命？」

『いいえ？深澤先輩だけ。だって本命ですからね』

深澤「なんか、調子狂う。きゅんと来たわー・・・。」

『ふふっ、疲れてますね？』

いつもならサラッとこういうのも流されちゃうから

今日くらいは真剣に言ってみないと、伝わらないよね？

初めて本命チョコを宣言した

先輩も少しは私の事で頭いっぱいになっちゃえ

深澤「今日だってさー、Aちゃん。いつもより雰囲気かわいい恰好してるし」

『あ、気づきます？趣向を変えました』

深澤「いつのも好きだけど、今日はよりかぁいい。」

『そんなに褒められるなんて、照れますね』

深澤「なぁんか、調子狂っちゃうんだけど。」

『本命なので、しっかり受け取ってくれたら嬉しいです。』

深澤「受け取ったよ、安心して」

良かった。寂しそうなクマさんカップケーキも
私の気持ちも浮かばれる

『・・・会えてよかったです。』

ぽろっと出てしまった思いが彼に聞こえていたのかはわからないが
そっと掌に彼のぬくもりを感じる。

深澤「素直でかぁいい。俺も会いたかった」