惑わせる彼Ⅴ【紫】 (ページ30)

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『も、もしもし？』

深澤「もしもし～？今どこで何してる？」

『今は、バイト終わりに渡辺君と帰ってますけど。』

渡辺「は？なに、誰から？」

深澤「・・・じゃあ前にあった、コンビニのとこ近い？今って」

『あ、いやもう駅の方が近いっですね』

渡辺「おい、変われ。」

私からスマホをはぎ取り、強引に電話先の深澤先輩に話し出す
深澤先輩の声は聞こえないけど、何話してんだろ

渡辺「何。今俺が送っているんで、もういいっすか？」

渡辺「・・・・は？自分勝手にもほどがあるだろ。」

渡辺「チッ。じゃあ駅までは俺が送るんで。でも調子乗らないでください。」

乱暴に、勝手に深澤先輩との通話を切って私にスマホを返す

『な、なに？勝手に電話切って・・・。』

渡辺「腹立つ。今日は俺が最後だったと思ったのによー。」

『どういうこと？』

渡辺「・・・あいつが、深澤がどうしても会いたいんだと。駅前までは俺が送ってく。」

『ふ、深澤先輩が私に…会いたいって？』

渡辺「そー。いつも送ってくれるんなら、今日くらいは譲れって。」

深澤先輩そんなこと、どうして言えるの？
勘違いしちゃいそうだよ。

渡辺「・・・・あいつのこと、まだ好きなの？A」

『わっかんない。考えると頭痛くなっちゃうんだ。』

渡辺「でも、そのお菓子渡すんだろ？紫の」

『バレてたか。』

紙袋に取り残された、寂しそうなクマさんに視線を落とす。
貴方を渡す相手に会えるんだって

緊張してきた。

『わたし、変じゃない？髪とか、汗かいてない？』

渡辺「・・・・大丈夫。ちゃんと今日も可愛いから」