惑わせる彼Ⅲ【紫】 (ページ22)

今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:53,970 hit

＊ページ22

『・・・そう、そうだよ。渡辺君。』

彼には全部バレてたのか、まあ深澤先輩のあのシーンを一緒に見たんだもんね

渡辺「ほら、こっち座んな？」

佐久間「まって、ふっかがこんなことするわけがないんだけど・・・」

『私、あの人に、すごい・・・凄い失礼なこと言った。』

三人から向けられている心配の視線が優しすぎて少し、痛いくらい
有難いんだけどさ

岩本「まぁ・・・いいんじゃない？いつもAが振り回されてんだし」

渡辺「そーだそーだ。あいつには少し塩対応で、行こうぜ」

隣で背中をさすってくれる岩本君。中学生の時からずっと変わんないそのやさしさを感じる

『わたし、深澤先輩が好き。大好きだった・・・』

佐久間「っ、え？」

岩本「え、ついにに言ったの？」

『言っちゃったんだ・・・でもね、ダメだったぁ。』

いままで心の中で積もっていた彼への思いが崩れてしまうような気がした
ここで、彼らの前で泣いたらダメだ、迷惑になる

『先輩、また彼女いた。ダメだったんだ』

岩本「あー・・・また、か。」

また、という言い方をする理由を唯一知っている彼から、そっと頭を撫でられる
そんなに優しくしないでよ岩本君。

『失礼ないい方しちゃった、嫌われて当然だ・・・私、って、』

佐久間「ダメじゃないよ。Aちゃん。」

やっぱりあふれた涙が止まらなくて、体育座りをしている自身の両ひざに
ぽたぽたと、涙が落ちる

佐久間「俺っちにも言ってくれたでしょ？いいとこほかにいっぱいあるって。」

ほーら！あの時のお返しー！！なんて明るく私を抱きしめる佐久間先輩が
今は一番の理解者であるようにも思える

渡辺「おい、佐久間。A離せ！！！！」

佐久間「んえー？どさくさに紛れて抱きしめ作戦が！！！」

岩本「もう作戦名言ってるじゃん。」

佐久間「あ！！！！しまった！！！！」